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単独行動スキル

今日は引越しの荷物を業者に持って行ってもらう日だったのだが、朝8時には業者の積み込みが終わってしまい、かなり暇になった。
業者の人が積み込みやすいように前日に結構片付けて、運び出しやすいようにしていたのが災いした。15分くらいで全部持って行かれてしまった。仕事ができる業者である。まあ、1Kの部屋の荷物なんてそんなにないのだが。
ということで空っぽになった家で何をすることもできず、私は早々に家を引き上げることにした。「二年間ありがとう」とお礼をして鍵をかけ、不動産屋に鍵を返した。さらば我が家。
さて、どうしよう。
実は入居日は明日からで、今日は都内の友人の家に泊まる予定なのである。だが、その友人との約束の時間が21時なのだ。つまり、21時まで私は外で時間を潰さなければならない。
では、都内で効率よく時間を潰せる場所とは一体どこか。
私が足りない頭で考えに考えて出した結論は、
そう。銭湯である。
私はすぐに検索をかけ、都営三田線「志村坂上駅」から徒歩8分ほどのところにある「さやの湯処」という銭湯に行くことにした。
大きい「竜泉寺の湯」とか系のそれこそ丸一日入れるところでもよかったのだが、都内でそういう場所は人が多い気がしてやめた。
それに比べて「さやの湯処」さんは、都営三田線の小さな駅にあるので、平日の真昼間ならすごく混んでもないだろう、という判断である。
そのほかにも、ここは天然温泉掛け流しの露天風呂で結構広く、綺麗な中庭と美味しそうな食事処まであったので、ここに決めた。
さて、総武線に乗り、水道橋で都営三田線に乗り換え20分。私は志村坂上駅に着き、さやの湯処さんに入った。
予想通り、すごい混んでいる訳ではなかったが、しかし思っていたより人はいるという印象だった。だが、風呂に入る隙間もないほどではないし、ゆっくりいろいろな湯に浸かりながら、空いたら移動するという方式で1時間ほど湯に浸かった。天然温泉はすごく塩分が強かった。非常に満足である。
しかも今日は天気が非常に良かったので、外気浴のために設置されているベンチでまったりするのは凄まじく気持ちよかった。
1時間ほどあったまったのち、一人で食事処へ行き、天ぷらせいろを食べ、ビールを飲んだ。ここはそれほど混んでなくて、何も気にせずゆっくりできた。食事後はおやすみどころでまどろみ、適当に切り上げて外に出た。
2時間半くらいの滞在で、食事とタオルを含めて値段は3000円くらいだった。
駅に戻る途中に大きな池がある公園があって、釣りをしている人や、子供たちで賑わっていた。
私はその中に混じり、サングラスをかけて日光浴をしながら、缶コーヒーを飲んだ。
そして思った。
「いやあ、一人で生きていけるなあ」と。
私の周りには結構カップルが多く、結婚している人もそれなりにいるのだが(私は24歳である)、なぜかぽっこり浮いたように私だけ恋人がいない。
そこに結構危機感を抱いたりして、意味もなくカップルを呪ったりしていたのだが、やはりこれはこういう私の「単独行動スキル」が原因なんじゃないかと思えてきた。
一人でなんでもやって、一人で自己完結しているのだから、恋人などできようはずもない。
ものすごい快晴の中、これはやばいなと危機感を抱いた午後である。
ちなみに私はこの後一人でスラムダンクを観る。
危機感は抱いただけではダメだという、いい例である。

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