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創作

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小説や詩など、書き散らしたものを。
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記事一覧

【掌編小説】 スープになれなかった

君が好きなものと、僕が好きなもの。 君が得意なものと、僕が得意なもの。 君が嫌いなものと、…

【掌編小説】 付喪神

そこを踏みつけちゃダメだよ そこに物を置いちゃいけないよ 背を向けちゃダメだよ その奥を覗…

【掌編小説】 Decade

「夏が来る前には帰れると思う」 あの人から短いメッセージが届いた。 「お疲れさま」 短い返…

【掌編小説】 春支度

「黒が薄れてきたよね」 テラス席で君が言う。 「黒って、なんの黒?」 君の視線の先に黒い物…

【掌編小説】 行方不明の万華鏡

10年以上前に、万華鏡を買った。 アート作品のような万華鏡は、確か5万円以上の価格だった。 …

【掌編小説】 自業自得

ほら、出られなくなった。 小さな枠の中に、僕たちは閉じ込められてしまった。 こうなること…

【掌編小説】 酒と涙とアタシ

泣くのが苦手だった。 赤ん坊の頃のことは知らない。記憶にない。 たぶん、きっと、その頃は泣いてたんだろう、人並みに。 そんな生存本能からの「泣く」ではなく、 哀しいとか、寂しいとか、感動したとか、 感情に紐付けられた「泣く」が、苦手だった。 仲の良い子が転校しちゃうとか、 失恋したとか、飼っていたペットが死んじゃったとか、 試合に負けたとか、先輩に酷く叱られたとか、 あとは卒業式や結婚式やお葬式などのセレモニー、 そんな時に人前で泣ける子たちが、不思議だった。 アタシは

【短編小説】 この店で飲み干すのは

彼女はとても自由だ。 振る舞いも言動も、とても自由だ。 それが彼女の魅力となって、彼女に会…

【短編小説】 ギムレット

僕には不思議な友だちがいる。 彼のことを「友だち」と言っていいのか、ちょっと迷う。 だって…

【短編小説】 浮雲BAR

狭くて急な階段を下りると、飾り気のない金属製の扉がある。 濃いグレーに塗られた扉にゴシッ…

【小説】 頭が良くなるカレーライス

彼はカレーライスを食べていた。 「あーちゃんも食べる?」 彼に訊かれたけど、アタシは首を横…