見出し画像

コーヒーが美味しくなくなった。悲しい。

コーヒーを愛飲していた。

一人暮らしの狭い部屋にはコーヒーマシン2台があり、エスプレッソとドリップで1日何杯もおかわりして飲んでいた。コーヒー豆をセットする時にただようやわらかい香り、水をセットする時の期待感、ドリップがぽたぽた落ちる時の独特の音、ジュワ〜という蒸気の音、、そのどれをも私は楽しんでいた。

眠気覚ましの朝のエスプレッソは、1日にアクセントを与えてくれた。ぼ〜っとした頭のままお砂糖を小さなスプーンですくって小さいエスプレッソカップに注ぎ、かきまわす。眠い目でスプーンをくるくる回すとほわぁっと独特の香り<アロマ>が漂ってきて、必死で朝布団から這いずり出た社会不適合者のダルい目覚めの時間に許された小さな歓びの瞬間だった。

それが一体何故だろう、最近、急にコーヒーを飲まなくなった。
もっと言えば飲んでも以前のように美味しいと思えなくなったし、飲みたいと思わなくなっていることに気づいた。多い時は1日5〜6杯もおかわりしていたというのに。普段引きこもってばかりの私が美味しいコーヒー豆を探してあちこちお店をまわったりもしていたのに。コーヒーは間違いなく私の生活の欠かせない一部だった。

何故だかわからない。
でも、なんだか物凄く悲しい。

楽しかった事がひとつ消えて無くなった様で、とても切なくて。
辛い事ばかり抱えてもがき続ける日々の生活の中で、大事にしていた愛おしい数少ない楽しみが、無くなってしまった。

何故だかわからないけれど、言葉にできない喪失感に包まれている。大事な何かを失う悲しさを、コーヒーを楽しめなくなった自分で気づいたけれど、こうしてこれから先、他にも幾つもの大事なことを無くしていくのだろうか。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?