力を合わせてブランディングする(第2回:戦略編)

 力を合わせてブランディングする 2回目は、戦略編ということで「具体的戦略を練る」を詳しく説明していきます。1回目から引き続き、想定する部門は事業部での営業フェーズをイメージしています。戦略編では下記3つの内容を説明いたします。

・営業課題の抽出

・ターゲットの明確化

・営業プロセスの体系化

 それでは「営業課題の抽出」から進めていきます。3つのターゲットに絞り新規リード・既存リード・既存顧客に対しての課題をまとめました。リードとは見込み客のことを指しています。

・新規リード…全く接点が無かった新しいリード

・既存リード…展示会などで名刺交換して集めたリード

・既存顧客…継続的に取引している、又は以前取引があった顧客

 ウェブマーケティングというと新規に強いイメージを持ちますが、既存での営業課題にも対応できます。図は、ウェブマーケティングを初めることで解決できるイメージの例をまとめています。

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 新規リードに対する営業課題は、そもそもリードが不足している事と問い合わせが少ないパターンです。BtoB企業ではコーポレートサイトをリニューアルしてから5年以上使い続けているという会社は多いと思います。私の担当させて頂く会社様でも10年ぐらい使い続けていたという企業様もありました。

経営者が60代で、サイトを会社のパンフレットぐらいにしか考えていない企業には多い傾向です。そもそも、経営者がデジタルネイティブでは無いので、情報のソースを新聞やテレビなどから入手しているからだと思います。

 この事に関しては否定はしないのですが、いつの間にか企業のキーマンは30〜40代に変わっています。いつの時代も若手が市場センサーの役割を果たしていますので、その方達が入手する情報ソースを充実させていく必要があります。

 新規リードの不足では、電話や飛び込み、顧客からの紹介などがそもそも難しくなっているなど営業目標との乖離が大きくなっているケースもあります。また、新規事業を作ったばかりで認知度も低く黙っていてもリードが来ないようなケースなども最近は増えています。

 リードの不足に関しては、まずは何より集客です。サイトの認知を高めなければなりません。想像してみてください、お店を開業してもプロモーションなどで認知を高めることをしなければ、存在さえも知られません。知ってもらう為にはリスティング広告やSEOなどのプル型、バナーや動画広告、ウェブメディア掲載などのプッシュ型。こういった集客をして、離れ小島になっているサイトにお客さんを呼ばなければなりません。

 次はコンタクト、リアルな営業と同じように打ち合わせの接点が必要です。導入事例やサービス内容、ブログやニュースなどのコンテンツを見て信頼できそうな企業であると判断されたらコンタクトが入ります。メルマガやセミナーへの登録、具体的な打ち合わせや見積もりの依頼などを頂けたら営業へとバトンを渡せます。ただし、初めのうちは事例やセミナーなどのコンテンツが充実していない事が多いのでコンタクトが少ないのはしょうがありません。

 既存リードの課題は管理とアプローチです。管理ツールとして、営業支援ツール(SFA)とマーケティングオートメーション(MA)を入れる際にはある程度の仮説と目的を作ります。例えばMAではメールマーケティングとセミナー管理をメインに、SFAでは最低限の営業進捗と顧客管理をする。ポイントはツールの機能を増やしすぎるとコスト高とオペレーションの負担が増すので、初めはコストを抑えたツールを選ぶことをお勧めします。

 アプローチでは、継続的に接点を持っているリードに対してステップ式のメールを送りセミナーや問い合わせに繋げます。この時に、セミナーリストを営業に渡してフォローをしてもらうように話をしても営業が動いてくれないことがあります。マーケティング部と営業部が別れている場合には確度の低いリストはフォローをしてくれません。

 既存顧客は、一度製品やサービスを購入頂いている顧客なので、ルート営業をしてニーズをヒヤリングできれば一番効率が良いわけです。しかし、特別用も無いのに会ってくれませんので、結果的には営業する側からしても効率が悪くなります。このルート営業の効率を上げるために在庫情報や資料のダウンロードなどでシステム化できれば、サイトに来ている既存顧客が何を欲しているのか分かります。

 営業の課題を棚卸しできたら、「ターゲットの明確化」です。メインターゲットを新規にするか既存にするかで大きく方針が変わります。

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 仮に商材をMA(マーケティングオートメーション)としましょう。ターゲットを新規とした場合、状況の異なる4タイプのリードがサイトにやって来ます。

 一見刈り取りが早くて良いと思われやすい、予算も方針も確定しているリードの場合はどうでしょう?比較表をしっかり作りと競合情報なども目星をつけているので、価格競争になりやすく事前の関係性を作りにくいリードです。

 方針は不明確だが予算はあるリードはどうでしょうか?指針になるようなコンテンツがサイトにあり、セミナーに参加して方針がクリアになれば、関係性を事前に結ぶ事ができ良いリードになります。

 これはあくまで一つの例です。出始めの新しい商材の場合と、商材がだいぶ知られている場合とでは顧客の質も変わります。商材によってどのようなタイプが顧客になり得そうかをイメージする事で明確になります。

 最後に「営業プロセスの体系化」について、小さい組織であれば営業部の中でマーケから営業まで全て一気通貫で仕事する事ができるのでコミュニケーションのロスもありません。問題は組織が大きくなり営業部とマーケティング部のように組織が分断されている場合などが問題で、いつの間にか部門の目的だけに終始してしまい、施策がチグハグになっていることがあります。

 営業プロセスには、大きくマーケティング活動と営業活動に別れています。この2つの活動が噛み合う事で最終的に売上へと結びつきます。ウェブマーケティングでは、主に集客・コンテンツ・コンタクトの3つを中心に仕組み化していきます。詳しい話は次回の実践編で触れますが、ここではどのような事をポイントにすれば良いかお話します。

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 まずは集客について、このフェーズではターゲットからの見られ方が重要になります。他社と比べてどう違うのかといった差別化要素(ブランディング)が必要になります。そもそも商材が知れ渡っているのであれば検索されます。商材そのものが新しければ検索されないので、コンセプトなどを分かり易く伝えるコミュニケーションに力を入れて動画広告や業界誌などに出稿して気付いてもらうしかありません。

 ターゲットがサイトに来てもらった際に、適切なコンテンツを用意しておく事で理解が深まり見込み顧客になります。商材の説明動画や事例記事、今であればウェブ展示会などがそのコンテンツになります。

 コンタクトはセミナー参加やメルマガ登録などの間接的なものから、具体的な相談といった直接的なものがあります。ここで質の高いリードを獲得でき、営業活動で適切にフォローする事ができれば成約率が良くなります。受注できなかったリードも継続的にフォローし続ける事ができれば、後々のチャンスに備える事ができます。

 今回説明してきたものは基本的な戦略ですので、ここから各社毎の特徴を鑑みてプランを立て実践を繰り返しPDCAを回していくしかないのではないでしょうか。次回は、いよいよ具体的な戦術編に入っていきます。

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