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茶湯からの、便り 十二

ん。蝉が鳴いている
お稽古を終えて外に出て
薄手の羽織り一枚で心地よい天気になったなあと思っていると、ミーンとどこかから聞こえてきた
なんて早いんだ
まだだよ。友達は誰かいたかい?と心配になる
温まる地球の危機も同時に危惧する

今日の炉は
薄雲
という名で
湯をあたためる炭が見えない様に
釜の周りにUFOのように円盤上に板が張っていた
あたたかくなってきた季節
炭が見えると季節を存分に感じられないからという心遣いなのだという

お菓子は道明寺の桜餅
つぶつぶとした表面が桜を思わせる
餡子の甘さと塩漬けした桜の葉のしょっぱさ
甘じょっぱい
という味覚の幸せを感じる
対極なものが同時に存在する不思議さをおもう

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