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誰にでも理解できる文章を書け

昭和の曲は、わかりやすくて好きだ。ストレートな愛の告白や、夢に向かってひたむきに頑張る人へ向けた応援ソング。現代ではあまり見なくなった、カッコつけすぎていない人間らしさのある歌詞に、心が打たれる。深く考えなくとも歌詞が自然に頭に入って来るのがポイントであって、その歌詞の意味を、真意を、いちいち考えなくても感情移入できる曲が多い気がする。
『ラブイズオーバー』に何人が涙を流したのだろう。書き起こしてみるとわかるけれど、この類の曲は本当に歌詞がわかりやすい。ひねくれや拗れたささくれが一切ない。
わかりやすいって、大事だ。自分のボキャブラリーの広さを露呈するために難解な言葉選びをしすぎると、途端につまらないものになったりするから不思議だ。単純さが面白さの鍵だったりする。

最近、「どうやって記事を書いているの?」というざっくりとした質問をいただくことが多いので、わたしなりに少し考えてみた。どうやって、書いているんでしょうわたしは。
出版社勤務、編集者として自分で記事を書いたりもするわけですが、編集長には「文芸小説みたいでかたい!」といつも言われます。やっと面白みがわかってきたけれど、小説の癖がいまだに抜けない小娘です。

結果、書き方はイマイチわからないのだけれど、長文を書く時に必ず念頭に置いていることはある。

これは、就活中にも本当に実感したことだから、どうしても伝えたいので書きます。

文章作成のコツをひとつ。わたしなりに伝えるならば、告げる言葉はただ一つ。

「誰にでもわかる文章を書け」

これができれば、もうそれ以上のスキルはひとまずいらないと思います。これができる人って、意外と少ない。大人でも。
仕事をし始めて本当に思うけれど、出来る人というのは本当に文章がうまい。あと短い。長ったらしくツラツラ書いたりしないんですね、だって読む気失せるじゃないですか。限られた時間でタスクを済ませて早く帰りたいじゃないですか。手短でわかりやすい、それが最高なんです。
まずは、最低限の言葉を使って、最低限の字数で書けるようになる。これを目指せば、圧倒的に文章力はあがる。あと、コミュ力も上がります。的確な言葉で伝達できるようになると、自然と会話がうまくなる。使う言葉は、中学までに学んだもので十分である。あとは文法、これはビジネス書とかを読んで文に慣れるしかない。
思うに、わかりやすさは究極のシンプルです。自分らしさを出すのは、その次でいいと思います。

じゃあそれ、どうやるのかって感じだと思うんですけど、簡単です。
三行で会話できるようになる。これだけです。

考えていること、伝えたいことを、短めの三行でまとめて欲しい。できれば文字の量は、二行目>三行目>一行目が好ましいです。最初はあくまで簡潔に。

あと、文章の無駄は後から省く。最初から省いて書こうとしないこと。まずは書いてみて、そこからいらないものを引き算していくとうまくできる。手書きの文書も、まずはパソコンで書くととても便利だ。効率も大事。

今回わたしはHow toしか書かないので、具体例を知りたいならビジネス書・自己啓発書とかを読むといいです。「LIFE SHIFT」とか、めちゃくちゃわかりやすい。タイトルもそうだけど、冒頭の一文がわかりやすくて引きが強い。

どの会社もビジネスであって、大切なのはコミュニケーション。会議の議事録ひとつとっても、みんなにわかるように書かなければならない。
オフィスワーカー(就活生も!)に求められているのは、わかりやすく簡潔な文章を書く力。情緒的なテキストを書くセンスは、オフィスではあまり求められないんです。こういうnoteとか、ある種の「自己表現の場」であればそういうに着眼するべきなのだけれど、オフィスワーカーにボキャブラリーとか別にいらないんです。小説家になりたいとか、ライターになりたいとか、そういうものを目指すならちょっと話が違ってくるのでこの記事は無視してください。

だからビジネス文書とかESを書くときには、「忙しい大人が流し読みしても頭に入ってくるレベル」で書いてください。ぶっちゃけ誤字とかあんまり気にしなくていい。とにかく丁寧な字で、わかりやすく単純に書いてみるといい。頭使わせるような文章作っちゃうと、読んでくれなくなります。大人って、そんなに理解力高くない。
本を読んでいると集中力が切れるのはまさにそれで、あれは世界観を作るために作家さんが少しでも雰囲気のある言葉を選ぶからである。中には確かにわかりやすいお話もあるのだけれど、作家さんは「物語」でお金を稼ぐ人だから、わかりやすさは幾分低い。「思う」と「想う」、「愛」と「哀」。言葉で遊んで世界を作る人たちを真似ると、なんとなく濁りが出て来てしまうので最初はそういうのを無視した方がいい。
逆にビジネス書なんかは、立ち読みレベルで頭に入ってくるほどわかりやすい。ライフシフトとか、一回読んだだけで理解できた。それが全てだ。

書くとは、「内側」にある自分の感情(知識)を、「外側」に向けて言語という形で放出することである。読み手が求めている情報を、そしてこちらが伝えたい事項を、双方に理解できる言葉で表現すること。これが文章を書くコツです。
これ、実はめちゃくちゃ難易度が高かったりする。
書くアウトプットとは、自分ではない誰かに向けてするものである。ここで作られる文章は、少なくとも他人からの理解を得られるようなものでなければならない。と、わたしは思っている。
自分さえよければいいんです、書いてる自分かっこいいって思うし人とか別にどーでもいいっす、というスタンスで書くと大体わかりづらくなる。魂を込めて泣きじゃくりながら心を込めて書きました!もう死んでいいです!くらいの勢いで書けるのであれば、ある種の味にはなるのかもだけれど(わたしは結構このタイプ)、これは「面白さ」を上乗せする手段であって、伝えやすさのレベルはちょっとおちる。
わかりやすさが薄れると、伝えたいことを美味しそうな形で提供するのが難しくなる。

記事を書く際に、この記事の一連の流れを先に決めて、言いたいことを整理してから文章作成をするのがライターさんの書き方である。これを「プロット作成」といって、長文を書く際には大体必要な行為だ。
これは記事に限らず、どんな文書でも使える方法である。文の流れ、伝えたいことを先に決めてから、文章を作成する。
骨組みがあればおのずと形になる。骨をつくってから書くと流れは壊れないのでオススメです。
仕事の記事を書く時には、わたしは絶対プロットをたてます。インタビューとか、ポートレートとか、人から聞いた話をまとめたりするならなおさらのこと。
流れと骨組みは、あるに越したことない。
プロットは紙に書いて、手で書くとより慣れてくる。断然アナログ派です。パソコンでやると、ボリューム感とかイメージがいまいちわかない。これって、わたしだけ…?

ちなみに。

わたしはnoteを書く時には、プロットを一切たてない。一切たてない。全部ノリだ。
なんなら今も、ここまで全て勢いで書いてしまっている。後で見返したとしても、誤字修正とかするレベルなので、かなり適当である。あれも書きたいし、これも書きたい。わりといつも旅をしながら書いている。
だけど、本当に書きたいことは大体最初から決まっている。「これだけは書いてやるぜ」みたいな変な気合はあって、あとの文章は正直おまけにしか過ぎない。曲でいうなら間奏的な。ないと窮屈で鬱陶しいし、あればちょうどいい、そんな感じ。
どんなに適当でも、「これだけは!」という伝えたいことがあれば、うまくいけたりする。軸さえ見失わなければ大丈夫だ。

わかりやすい文章が全てではないけれど。
まずは「伝え方」を知ることから徹底するとうまくいくと思う。あと、恥ずかしがらずに人に読んでもらうこと。自分だけで添削すると、いつまでたっても上達しない。第三者の意見がスパイスになったりする。
書けるようになってくると、わかりやすさに物足りなくなってくると、今度は「面白さ」に興味が出てくると思う。わたしはそうでした。だからここで書いて練習している。SNSに投稿したところでいいねとかマジで少ないんですけど、割と読んでくれる人がいるんだな、って実感する。「あれ、面白かった」っていわれると、「あ、この人は読んでくれて、私の記事を読むのに時間を割いてくれて、少なくともわたしが伝えようとしていることをわかってくれたんだな」と思う。
わかりやすさの先に面白さがある。

書くって、やっぱり楽しい。みんなもっと文章書いてよって、いつもモジモジしてます。

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