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クローン羊「ドリー」というSFと現実の狭間に。そしてロボットが生命を作る時代へ

クローン羊の「ドリー」が生まれたのは1996年。ドリーは僅か6歳でこの世を去った。

そして、そのドリーを誕生させたイギリスのイアン・ウィルムット博士が先日、亡くなったとのことです。当時センセーショナルな論争を巻き起こしたクローン羊の「ドリー」とはなんだったのでしょうか。

いまから20年前の1996年7月、世界初の哺乳類の体細胞クローンである「ドリー」が誕生し、世界中で大きな話題となったのです。

しかしドリーは、2003年に早すぎる死を迎えたのです。進行性の肺疾患を発症したため、6歳と半年あまりで安楽死させられた。ちなみに、一般的な羊の寿命は10〜12歳程度とされています。

年齢にしては早すぎる関節炎にもかかっており、クローンであることが原因だったかどうかについての論争を巻き起こしました。

1999年のネイチャー誌には、「ドリーは生まれつき細胞内の染色体にあるテロメアが短くなっているので生まれつき老化している」という研究が発表され、これが通説となりました。

ちなみにテロメアとは、「生命の回数券」とも言われ、細胞分裂するたびに短くなる染色体の末端にある構造物のことです。ヒトはこれが短くなると細胞分裂できなくなって寿命に到達します。

遺伝情報の元が6歳のヒツジだったので、ドリーは誕生時に遺伝子が既に6歳であったと推測されたのです。

そして、クローンは寿命が短いと言われ、、、

押井守監督のアニメ作品「スカイクロラ」(2008年)では、戦闘機搭乗員が「世界最強の人間パイロットの遺伝子から作ったクローン」との設定で寿命は短く、少年少女の姿で長くは生きられないというものだった。きっとドリーの影響でこんな作品が出来たのだと思う。

一方で、リドリー・スコット監督作品「ブレードランナー」(1982年)に登場するレプリカントと呼ばれる人造人間は、人間が活動不可能な現場で活動する設定となっていて、「寿命が短く人権がない」という不満から製造元会社を襲撃するものだった。なんと、ドリーの前からなぜか同じような設定があったのである(笑)、、、

もしかしたら、昔からクローンは人間よりもどこか劣る設定というのが、人間の潜在的なところにあったのかもしれない。

そして、2007年にドリーのクローニングで使われたものと同じ乳腺細胞株から作り出された別の4頭の羊が生まれた。

この4頭は大きな病気や異常も無く、普通の羊と同じように天命を全うしたのです。先の「テロメア短い説」は完全に否定されたのでした。

そしてその後、中国の天津に世界最大の「クローン動物作製センター」が設立され、犬、牛、馬、さらに豚などが、この工場で作られるようになったんです(さすが中国、、、)。

昨年にはここで、クローン豚の作製において、ロボットによる全工程の自動化を実現。まさに「動物工場」の誕生である。

ロボットが生命を生み出す時代に入ったのです。

「モノづくり」から「動物づくり」へ、リアルとSFが入り乱れる世界が、私たちの希望を作るのか、それとも破滅へ導くのか、、、こわいこわい(笑)

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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