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わたしの本棚

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日記のような、手紙のような、メモのような、読書記録。
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村上春樹『一人称単数』

村上春樹『一人称単数』

村上春樹『一人称単数』のなかの、
最後の一編「一人称単数」。

村上春樹を進んで読んでいる、ということに
自分自身の良き変化を感じる。
変化というよりも、脱皮。
正しく読み取らなくちゃ!からの脱出。

理由なんて、ない。
それでいい。

小学生の頃、説明文がニガテになり
中高生の頃は、物語文の方がニガテだと思っていた。
なにが説明されているのかを問われる説明文が嫌になって、
試験が増えるにつれて、

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ねじめ正一『高円寺純情商店街』

ねじめ正一『高円寺純情商店街』

「なにか、一冊。」と思って入ったかもめブックスでの出会い。時々、本屋さん特有のこの買い方をする。予定調和ではなく、そのときの自分が引き寄せ、また引き寄せられた一冊との出会いを求めて。あたらしい風に吹かれたい好奇心や、変わりたいという焦燥感や…いろいろまざり合って抱えきれなくなる前に、本屋さんに向かう。

高円寺純情商店街。
物心ついてから長いこと、中央線沿いで暮らしてきたにも拘らず、わたしがこの商

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森鴎外『舞姫』

森鴎外『舞姫』

興奮冷めやらぬ。
ふと手にとって体勢も変えずに読みとおした夜から、数日。
『舞姫』再読の衝撃は、なかなか薄れない。

『舞姫』とのはじめましては、たしか高校3年生。高3の現代文の教科書に載っていたような気がする。当時のわたしには、まったくと言っても過言ではないほど、わからなかった。話の筋を追うので精一杯。登場人物の心の機微に触れるどころではなかった。

はじめましてから何年も経った今、再び読み直そ

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藤野英人『投資バカの思考法』

藤野英人『投資バカの思考法』

本を読むとき、今の自分に響いたところに付箋でしるしをつけながら読み進める。さらりと読み流すつもりだったこの本にも、読み終えた今、いくつも付箋がついた。

著者の藤野英人さんはひふみ投信のファンドマネージャー。お仕事を通じて培われた投資のスキルについて、わかりやすくまとめられた一冊だ。
しかし、投資という枠には収まらない内容だった。今この瞬間からの、自分の生き方やあり方、姿勢について、考えずにはいら

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小川糸 『ミ・ト・ン』

小川糸 『ミ・ト・ン』

なにか読みたいのに、読みたいものがない。
そんなときに読みはじめ、ぴったりはまって気に入っている一冊。

最近、春のおとずれを感じながらも、はじめてミトンを編んだ。
いろんな気持ちが交錯する今、編みものをしているとその手元に集中できて助かった。編みながら思い出したのが、小川糸さんの『ミ・ト・ン』。

主人公はマリカという女の子。外であそぶのがだいすきで、はじめは編みものを好きになれず苦戦する。でも

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山崎ナオコーラ『美しい距離』

山崎ナオコーラ『美しい距離』

介護のお仕事をしている友人と会った。
担当している利用者さんが老衰で亡くなるのを看取ったことを話してくれた。一年のうちに何度もひとの死を看取るということは、わたしにはとても想像できない。

自分が担当したひとの看取りが続くことを、どうとらえるのか。
日々その現場に立ち、逃げずに向き合った彼女が辿り着いたひとつの答えが、
「死神とおもうより、エンジェルと思うことにしたんだ」。

この言葉にわたしは拍

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谷川俊太郎『東京バラード、それから』

谷川俊太郎『東京バラード、それから』

なんでも「うつくしい」と形容してしまうのは怠慢かなと思いつつ、はじめからおわりまで、ほんとうにうつくしい一冊だった。

谷川さんのことばや写真が素晴らしいということは、わたしが言うまでもない。
そんなことは重々承知の上で、それでもこの本のことを書きたいとおもうのは、読んでいる時間、ページをめくる時間が、とても充実していたからだろう。本のページをめくることに、これほどの心地よさやめくり続けたいという

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オクノ 修 『ランベルマイユコーヒー店』

オクノ 修 『ランベルマイユコーヒー店』

いろんな本屋さんで眺めていた本。
つまり、わたしが行く、わたしがすきな本屋さんに、よく並んでいる本なのだと思う。

たびたび出会ってはいたのに、なぜあの日に買ったのだろう。自分でもよくわからない。
仕事の帰り道。本屋さんが集うイベントのクローズ間際に立ち寄った。ミシマ社さんのブースでひいたクジの中身は『ちゃぶ台』だった。

この地上には「教室」よりも出かけるべき場所がいくらでもある。週に5回、朝

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尹 雄大『モヤモヤの正体』

尹 雄大『モヤモヤの正体』

「私なんて
……」から始まる卑屈さは、他人の提示する価値観や基準を満たせないことへの焦燥や妬みを内包しているもの

自分を否定し他人を肯定する、自分を肯定し他人を否定するとは運動であり、変わり続けるということです。私たちは生命体ですから決して固着することなく、変化し続けています。変わり続けるとは、いつでも変化に応じられることでもあります。

ほんとうは、もっとたくさんの箇所に付箋をつけている。

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読書記録をつけてみる

読書記録をつけてみる

読書記録をつけたくて、アナログもデジタルも、いろんな方法を試してきた。そして、どれも定着せずに今に至る。毎回記事を書こうとすると読んだ本について書くことを勧められるので、noteで読書記録をつけてみようと思い立った。何度目の正直だろう。わからない。でも、人に勧められたことの方が自分に向いている場合が多いのでやってみようと思う。

日頃から読書に限らず、いいなと思った言葉、響きすぎて耳が痛い言葉など

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