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コロナ休校で、ドイツのシュタイナー学校の授業は?

3月16日、ドイツは学校が休校になりました。
そして外出自粛政策、接触制限策が始まり、休校は5月半ばまで続きます。
学校が段階的に再開(州によって差はあり)した5月18日までの約2ヶ月間、
シュタイナー学校ではどのように担任と子どもたちが課題を行っていたのでしょう?

子どもをシュタイナー学校に入れているクラスメイトや友人、シュタイナー学校で働く教員の方にコロナ休校期間の対応についての話を聞きました。

シュタイナー学校では、原則15歳以下の子どもたちに対して一切のデジタルデバイスを使いません。
それは、子どもの感覚器官や脳の発達、そして「養うべきもの」を段階を踏まえて考えているからであり、決して闇雲な禁止ではないのです。

しかし、とにかく教育の場においてiPadや携帯電話、PCやTVはもちろん、拡大映写機や電波を発したり電源を必要とするような機械は一切使うことをしません。
なので、本来のシュタイナー教育の観点から考えると、「オンライン授業」なんてもってのほか・・・。


自由度の高いシュタイナー学校は、担任が独自で課題を作り、それぞれの実態に見合った宿題や課題を考えています。
よって全ての学校が同じ形式ではないのですが、参考にStuttgartにあるいくつかのシュタイナー学校の対応例を紹介します。

◎学校1(1年生)
・担任の先生から課題が手渡しで出される。
・課題の提出と、新しい課題の受け取りに担任の先生のお家へ行く。(2〜3週間に一度の頻度)
・一人ひとりに課題は違うが、アルファベットや簡単な計算、詩の暗誦など。

◎学校1(2年生)
・担任の先生から毎週月曜日に課題がPDFでメール配信される。
・親がそれを印刷し、子どもが解く。一週間分終わったら、担任の家へ郵送する。
・課題は主にドイツ語の作文、算数。
・週に一度担任の先生と10分ほどビデオ電話をする。
(月曜日生まれの子は火曜日、火曜日生まれの子は水曜日、など。生まれた曜日によって担任の先生との電話の日が決まっている。)
・ビデオ電話の中で、一人ひとり決められた、振り付けありの詩の暗誦をする。(生まれた曜日にちなんだもの。)
・電話では、どんな一週間を過ごしているか、頑張っていることは何か、勉強で難しいところはどこか、などの話をする。

◎学校1(4年生)
・読み書きやテストも始まる4年生の課題量はとても多い。算数とドイツ語を合わせて1週間に20枚ほどのプリントがPDFで月曜日にメール配信される。
・主にプリント学習
・フランス語やロシア語などの第三外国語も読み書きの宿題あり。
・エポックで途中となっていた動物学の課題もあり、主に読書で進める。(本がない場合は親がPDFを印刷する)
・詩の暗誦

↓子どもたちが解き慣れていない学習プリント。プリントやドリル、教科書を使うような学習方法を学校でしていない子どもたちが課題として受け取ったのは、無機質な学習プリント・・・。

普段、主要教科の宿題が出ず、親がなるだけ子どもの主要教科の学習に口を出さないスタイルのシュタイナー学校。子どもをシュタイナー校に入れる知人たちから「うちの子、全く問題が解けないのだけど、大丈夫かしら」「学齢を考えたらとても簡単な問題を、いつまでも考えているのでこちらが頭が痛くなる」といった嘆きの声が本当にたくさん聞かれました。

普段、解き方や考え方がこの穴埋めとは違うから時間がかかるだけで、みんな理解しているので大丈夫です。と言いたいところだけれど、確かに自分の子どもだったら心配してしまうだろうなぁ。

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◎学校2(4年生)
・ドイツ語と算数のプリントのメール配信
・第三外国語の課題
・言語や学習のサポートが必要な子どもには週に1回、1時間の個人オンライン授業

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◎学校3
・10年生以上(高校生)、オンライン授業を実施
・それ以下の学年は、郵便のやり取りで、エポック授業を進める。


まとめ

実際には算数(数学)、ドイツ語のこれまでの授業内容の繰り返し練習が主体。リズムや手遊び、アートや身体感覚を重視する授業を展開している学校のため、教室で直接の授業以外、全く不可能であることも多く、いかにシュタイナー教育の良さを残してこの期間に授業を進めるかが担任教師共通の悩みでした。

語学、手の仕事、宗教等の専科授業も、それぞれの教師が工夫して、家でできる課題を通達しているようです。

オイリュトミー、音楽、体育、園芸など、全く授業不可能な科目もあり、そういう教師たちは、「Notbetreuung」という、親が公的機関で、または、社会の需要に応じて、家にいられない子供たちを学校で預かる緊急保護の対応にまわっていたそうです。


特に小学1、2年生はシュタイナー教育の場合、基本的にはノートなどを通じた課題の出しようもありません。
担任教師が、ほとんど毎日生徒及び家庭と個人的に連絡をとり、それぞれに見合った翌日の課題を出して、かろうじて、教師と生徒の絆を保っているというのが、現状でした。

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