見出し画像

ドイツのシュタイナー学校、1年生の教室環境

1年生の教室環境の様子をご紹介したいと思います。

私は大学院の授業で、2020年1月、ドイツの伝統あるシュタイナー学校(Waldorfschule)にて約1ヶ月住み込みで実習をさせてもらいました。撮影許可は得ています。

今日は1年生のクラスを紹介します。
まずは時間割(担任の先生の手描き)を見てみましょう。

画像1

子どもたちは8時に登校、11時40分ごろ下校です。担任の先生もお昼には帰宅します。daycare(学童)に残りお弁当を食べて遊んでから帰る子どもたちは13時半ごろまで敷地内の学童にいます。

8:05〜9:45までの長い一コマは「エポック授業」と呼ばれ、主要教科を行います。3週間に渡って同じ教科が続きます。私がいた4週間の中でのカリキュラムは、3週間の「アルファベット」と1週間の「ぬらし絵」でした。

シュタイナー学校の特徴の一つとして、1年生から「第三外国語」を学びます。この学校ではロシア語です。母語のドイツ語の他に、英語とロシア語を1年生から歌や手遊び、詩の朗読やゲームをメインにして実用的に学んでいきます。読み書きは4年生から行います。ロシア語の他に、フランス語を第三外国語として取り入れているシュタイナー学校もドイツには多いです。

画像2


Pause(休み時間)の時間は、家から持ってきたスナック(生野菜、果物、ナッツ、パンやソーセージ)を食べたり、外遊びをします。朝の開始時間が早く、お昼前には学校が終わるので、子どもたちの大事な栄養補給の時間です。休憩時間にはいつでもおやつをつまんで良い決まりになっています。
休み時間は教師も休み時間のため、子どもは子どもたちだけで遊びます。教師は職員室でコーヒーを飲んだり新聞を読んだり、談話をしたり次の授業準備をしたりしていました。
ただ、1年生は先生が付き添って一緒に遊んでいる様子が見られました。

授業が始まる8時前に先生はお湯を温め、Pauseが始まる時にクラスのみんなであたたかいハーブティーを飲むのが印象的でした。

私が実習をした1月は、1年生が入学をしてきて約4ヶ月目。9月に入学をし、長いクリスマス休暇を経た直後だったので、学校生活のリズムを取り戻す最中だったので、特に対話を重視していた印象でした。

画像3

画像4

学習は、アルファベット。
一つひとつの文字に関するお話(先生がオリジナルで考える)を聴きながら、イメージして体を動かしたり、絵に表したりして覚えていきます。色は、黒は使いません。
習うアルファベットは一日ひとつ。ゆっくりとした時間の中で、暖かい色に触れながら学習をしていました。

画像5

画像6

一緒に住み込みで教育実習をしていたフラットメイトの実習が1年生の担当だったので、毎日様子を見せてもらっていました。この日はSやTから始まるお話。自分でお話を毎日作り、優しく語りかける練習をしていました。ドイツのシュタイナー教員養成は実習が3回あり、期間も合計3〜6ヶ月と長く、メインで授業を進めることを任されます。朝、前の日の文字とお話の復習、確認から始めて、次の文字を習います。この日はdas Schiff=船、die Tür=ドア に関するファンタジー。子どもたちも同じように、想像してノートに文字と絵を描きます。


日本の公立小学校を振り返ると、1年生はひらがな50文字、カタカナ50文字、漢字を80文字習いますね。日本語は文字が多い言語だなぁと思います。

画像14

アルファベット最後の授業の日は、「アルファベットパーティー」を開催していました。先生がアルファベットのクッキーを焼いてきて、名前や単語を作ってみんなで食べたり、先生がコルクで手作りしたアルファベットでゲームをしていました。

画像15

画像14

教室の様子。朝、子どもたちは好きな場所に座ります。木の椅子ではなく、座布団の日もありました。時間になると、今日の日時や天気を確認し、出席を取って、手遊びをしたり詩の朗読をして、ゆっくりと始めます。チャイムは鳴らず、学年が上がっても教室に時計はありません。

画像16

ひとクラスは最大36人。ひと学年に2クラスあります。このクラスも36名在籍しています。担任の先生は1人ですが、日中アシスタントの先生が入ったり、エポック授業以外は、グループを2つに分けて18人ずつで学習しています。

画像12

机は折りたたんで収納されており、必要になれば使います。1年生には、机で書いたり読んだりする時間よりも、聞いたり話したり、指先を使ったり、身体や感覚を使う時間を多く取っています。また、靴は教室に入る前に脱ぎ、オイリュトミーシューズに履き替えます。靴箱は無いので床に置きます。

IMG_0764のコピー

心をあたためるファンタジーの時間。エポック授業の終わりに、担任の先生は毎日15分ほどメルヘンのお話をします。絵本や紙芝居ではなく、暗記したストーリーを語りかけます。子どもたちは主人公や背景を想像し、目をキラキラとさせてお話の中に引き込まれていきます。お話は先生によりますが、グリム童話や聖書の話、行事からピックアップして何日もかけて話します。

画像10

担任の先生は、その日のお話の想像のヒントになるような絵を、黒板に描きます。これはなんと普通の黒板、色チョークです・・・!

画像11

アルファベットの授業のヒントとなるような絵を、石に描いてゲームができるようにいつも窓際に置いてありました。子どもたちが文章を作ったり、語彙を増やしたりするのに楽しく学べる教材。こちらも全て先生の手作り、アイディアです。

画像12

画像13

子どものぬらし絵や作品を収納するファイル。美しく飾られています。

学校生活の始まり、夢いっぱいの6歳。1年生。大きな愛に包まれて、安心できる暖かい色や言葉の空間の中で、子どもたちは夢の中から着実に成長していきます。

Ai






サポートをありがとうございます。夢のSlow×Art×Educationのための糧に、大切に使わせていただきます。