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長男の話15【自閉症ママ2人目を産む】


 

私は出産が怖かった。
子供の頃から親にいちばん痛い経験は何かと聞いたら、
必ず「出産」「陣痛」と答える。


ネットで調べても「男の人には耐えられないであろう痛み」と出てきた。



怖い




怖すぎてめーくんの出産は和痛分娩を選択した。

いたみを和ませているはずなのに
陣痛が痛すぎてパニックになった。

そして結局緊急帝王切開。


ひとりめが帝王切開なら、
大半2人目も帝王切開となる。



怖くて震えが止まらない。


麻酔が効いて痛みは無いものの、
メスで切る感触も
内臓からぐにゃりと子供を取り出す感触も
あまりに生々しく伝わってきた。
 

予定帝王切開は
めーくんのときの緊急帝王切開よりも何倍も長く、
丁寧に丁寧に行われた。


そして無事、
35週6日というギリギリの早産で次男のもーくんが産まれた。



真っ白な状態で産まれたもーくんは
早産のためすぐに保育器に入った。

ごめんね


めーくんの心配ばかりで
お腹にいたもーくんのこと
なんにも心配してあげられなかった。



出産後もコロナ禍であったため、
誰も見に来ることは出来ず
私が初めて保育器から新生児室にうつったもーくんを見に行った。

帝王切開手術後のため、歩けるようになってからだ。
早く会いたい。

案外痛みの中歩くのは余裕で、
たとえ拳銃で撃たれても私は歩けると思った。

自由に歩けない身体をひきずり、
もーくんと対面。


かわいい
 



産まれたてのめーくんと本当によく似ており、
デジャブみたいな感覚。


めーくんが愛おしすぎて
新しい命を平等に愛することが出来るのか心配したこともあったけど、
めーくんと同じぐらい
小さく可愛らしいもーくんを幸せにしたいと思った。

                  

私にとって出産の次に上手くかないことは
母乳だった。
どんなに頑張って吸わせようとしても
うまく吸わない。めーくんの時もそうだった。

多分私は生物学的に子供を産むことに向いていないのだ。
医療やミルクの力が無ければ
子供を産んだり成長させることは不可能な人間。

こうして2人も産ませてくれた
現代の技術に感謝した。


そして待ちに待っためーくんとの再会。
、、のはずの退院の前日。

退院は延期だと言われた。
体重が伸びていない。

「早産だし、念の為もう少し長くここに居た方がいいと思う」

医者にそう言われ、
「分かりました」と言うしか無かった。



もーくんに3時間おきにミルクをあげに向かい、決まった時間に食事と一瞬のシャワー。

この生活がまた続き、
このままここに居たらめーくんはどんどん私を忘れてしまう。



「私だけでも帰れませんか?」 


もーくんとここにいても、
母乳もあげられない私にはできることがない。
それよりもめーくんに一刻も早く会って
ちゃんと近くにいることを
伝えたいと思った。

 
でもそれを伝えた瞬間に
うまれたてのもーくんにひどいことをしている気もして、
ここに残るも、
一人で帰るもどっちも悲しい選択であることに変わりはなかった。


帰ると決めた日に
もーくんを連れて帰り
めーくんとパパに会わせたい。


無理だと言われたことを
いつまでもひきずり、涙が止まらないのは昔からのこと。


2人子供を産んでも私は子供のままなのだ。








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