柔らかく、脆く、紡いだ日々

いつも1人で何かを守っていた

付き合ったばかりのあなたは、掴んでしまうと壊れそうで簡単に触れることはできないシャボン玉みたいだった。傷つくことを恐れて何層も折り重なる殻に閉じこもって、誰も寄せ付けない雰囲気があって。深いところを聞き出そうとすれば扉に鍵をつけて入らないようにする。思ってもない言葉でフェイクする。弱い事を気づかれないように強そうなそぶりを見せているところがなんか可愛く思えた。

そんなこと口にすると可愛いは求めてないからと苦笑いする。そんなときの横顔がたまらなく好きだった。


「本当の俺を知ったらみんな離れていくんだ。」

突き放すような言葉。きっと自分の中に入っていく人達をそうやってはねのけてきたのだろう。そんな脆いところが外見とのギャップにあいまってミステリアスにさえ感じてしまう。

どうしたら私の気持ちが100%伝わるのかな。どんなに言葉を尽くしても果てしなく遠い距離を感じる。あなたのすべてを分かった気ではいない、でもあなたの痛みを半分でもいいから抱えて生きていきたい、そう思った。

あなたが笑っていると私も嬉しい。


あなたが悲しいと自分のことのように辛い。


あなたが悩んでいるとどうにか力になりたいと思う。


世話焼きな姉御肌が全開になった私の行動を

「変な子だね」と柔らかい顔で言う。その表情からわかる、本当は優しい人なんだって。


私は知ってるよ。



同じ苗字になって3年。

今では何でも私に話してくれる。あの頃埋まらなかった距離は少しだけ縮まっていると思っていいよね。どこまでいっても私とあなたは違う人だから100%理解できるわけではないけど、共有する量は多くなった。笑いの絶えない毎日はかけがえのない日々になっている。


仕事ができなくなって何もかも自暴自棄になっていた時、私の気持ちを職場に代弁してくれた。毎日気にしていないそぶりをしていたけど、ちゃんと見ていてくれていたんだね。その後も毎日不安定な気持ちを余裕のなかった私はぶつけていた。なにか意見を言うわけでもなくただ耳を傾け、側にいてくれた。1人でいたらきっと乗り越えることはできなかったと思う。今は少しだけ不安定な自分を許せるようになっている。

気持ちがわからず不安で眠れない日は何度もあって悩んだ時もあったけど、この人と一緒に生きていく決断は間違っていなかった。 


付き合い始めた時よりももっと好きだし、今でも恋している。そのことをこの間伝えたら


「やっぱり変な子だね」と


あの頃と同じリアクション。


変わらない表情で見つめる瞳に
私の方が半分痛みを抱えてもらっていた。


最後まで記事を読んでくれてありがとうございました!