F

好きだった詩集を、あなたに貸した。

気に入った言葉に、アンダーラインを引いて欲しくて。

返ってきた本には、黄色いラインと、感想を書いてくれた、あなたの文字。

世界にひとつだけの宝物が増えた気がして、嬉しかった。

いつか失くしてしまったあの詩集、何処にいったんだろう。

大切にしていたのにな。

あなたも、同じように、何処に行ってしまったの?

すごくすごく、大切だったのに。