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EN VOYAGE

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これまで私がみてきた世界。 1年×2回のフランス留学(22歳と29歳)。1年のカナダ留学(27歳)。2年のカナダ勤務(31歳〜33歳)。フランスやカナダで見た世界と、フランス・カ… もっと読む
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記事一覧

【紀行文】女3人メキシコ珍旅行

深夜に夫とテレビを観ながら、何がきっかけだったか、10年前にメキシコ旅行した思い出話をふと話すことになった。 メキシコの東海岸、有名なリゾート地カンクン・・・は貧乏な学生には敷居が高すぎで、ちょっとずれたところにあるプラヤ=デル=カルメンに2013年の年末にはるばる旅行した、まだ20代だった私。 もちろん一人で行ったわけではない。 メンバーは、モントリオール大学留学時代の友人。カナダ人のジュリーとメキシコ人のアレハンドラ、そして日本人の私の3人である。 モントリオール

氷上のお散歩 オタワの思い出と妄想と

若干季節外れではあるけれど、昨日Netflixで「シルバー・スケート」というロシア映画を観た。この映画を観た理由はロシアについて知りたいから・・・的な私によくあるモチベーションとは全然別で、あらすじにすーっと惹かれたからだ。 「凍った川や運河を人々がスケートで往来する」っていう描写は、私が4〜5年前に暮らしていたカナダの首都オタワでの光景を思い出させた。それはもうまざまざと。なので、今日はそんな話。まだ全然季節はずれだけど。 オタワはリドー運河という運河の出発点で、これは

Mes amies

ここ数日の記事、勉強オタクによる不完全な殴り書きの文章なのに読んで下さった方、そしてスキを押してくださった方、本当にありがとうございます。スキです。 昨日の夜、10年来の友人とオンライン飲みをした。大学院生の時に加入していた日仏学生フォーラム(Forum Franco-japonais des étudiants, FFJE)という学生団体の同期メンバーで、何年経っても、普段会わなくても、心が通じて尊敬すべき友人たちである。 私たちは、2年の任期で毎年10名ずつメンバーを

転がる香港に苔は生えない

新しいジャンルの本を読み始めた。それは、私にとっては未知の世界だった。『転がる香港に苔は生えない』。近所の本屋の文庫本コーナーでタイトルを見た瞬間、私はふと目が止まった。数多ある本の中から、連休中に読むのにぴったりな本を探しにいって、本当はしっとりとした恋愛小説の気分だったのに、なぜか目に止まったのは『転がる香港に苔は生えない』。 「転がる石に苔は生えない」が元の表現だったっけっか・・・イギリスの諺だったはず。意味は、いつも覚えられない。プラスの意味なのかマイナスの意味なの

オーロラを観た夜の孤独

3年前、私は女ひとりでオーロラを観に行った。 あれは2018年2月のこと。その少し前にとても悲しいことがあって、どうにもこうにもその傷が耐えきれなくなって、ふと思った。 「そうだ、オーロラを観にいこう」 *** その時私はカナダの首都オタワで働いていた。2月のオタワといえば、冬に突入してから4ヶ月に入ろうとする頃で、-18℃が当たり前の世界だった。-18℃がどれくらい寒いかといえば、寒いというより痛いという感じ。とても悲しいことがあって心がめちゃくちゃ痛かった私は、い

わたしの冒険と彼の冒険

「先生、いっぱい冒険してきたんですね」 先日、ある生徒と話していたら、そういうリアクションがあって嬉しかった。面談中、ずっと暗かった彼の表情が少し明るくなって、目にらんらんとした生気が戻ってきた様子で出てきた言葉だった。 「先生、いっぱい冒険してきたんですね」 その日は個別指導で、その生徒と本当にたくさんの話をした日だった。勉強以前の話に時間を割いて、彼を元気づけるために私自身のこれまでの話もした。 なんでその一言が私の琴線に触れたのかというと、それは、それこそまさに

エミリーからかかってきた電話

先日、目が覚めたら怪しい番号から着信履歴があった。 発信番号が+31で始まっていたのでフランスからの電話だとわかった。知らない番号からの電話だったけれど、少し心当たりがある。友人のエミリーだ。 *** エミリーと初めて会ったのは8年前、モントリオールでだった。私がモントリオール大学の博士課程に留学した時のこと。現地に移民した日本人の友人がフランス人のエミリーを紹介してくれて、一緒に遊ぶようになった。聞けば、エミリーもモントリオール大学の学生だった。 エミリーは優しくて

#12 桜ノ宮公園の亀観察

思い返してみれば、今年、職場の次に多く行った場所は、家の目の前にある桜ノ宮公園である。私はそこで、くる日もくる日も亀を見続けた時期があった。 桜ノ宮公園と大川私が大阪市内に引っ越してきたのは今年の2月。引っ越して間もない3月末頃、外出自粛ということが言われ始めるようになった。だから大阪に住み始めてから、私の外出先はもっぱら桜ノ宮公園となった。 桜ノ宮公園を散歩しはじめて1ヶ月ほど経った頃、私はあることに気がついた。見るタイミングによって、川の水位が明らかに違うのである。在

#4 寒さの記憶

ここ数日、刺すような寒さになってきた。冬だ。 寒がりの私は思わず身を竦める。でも、こんな風な寒さをやり過ごすとっておきの方法が、私にはある。この方法をわかってくれる人は、日本に幾ばくいるだろうか。 寒さの記憶その方法とは、もっと寒い日を思い出すというものだ。 そう聞くと「なんだ」と思われるかもしれない。 でも思い出す寒さが生半可なのではだめ。 私の体が記憶しているのは、己の生を感じずにはいられないほどの温度。 5℃、 0℃、 -5℃、 -10℃、 -15℃、 -20℃

#10 フランスの修道院でクリスマスを過ごした話

みなさんメリークリスマス! 聖なる夜をいかがお過ごし? 今日は、人生で一番インパクトのあったクリスマスの話をしようと思う。 それは2014年、フランスのある田舎で過ごしたクリスマスのことである。私は2007年と2014年の2回、フランスでのクリスマスを経験している。それぞれに思い出があるが、ユニークな経験だったのは圧倒的に2014年のクリスマスだ。 2014年のクリスマス、フランスその年、私はパリに留学していた。当時大学院生で、留学といっても楽しい青春ではない。勉強や研

#7 女二人のコスタリカ 1 / 旅の準備

2年前の今日12月19日、私はコスタリカの路上、水着姿でバスを待っていた。 冬のバカンス二日前にA Film About Coffeeという映画を観た話を書いたら、コスタリカのことを思い出した。コスタリカはコーヒーの産地の1つだ。そしてコスタリカは、私が2年前の冬休みに旅した国なのだ。そんなわけで、私の思考はコーヒーからコスタリカに流れ着いた。 2年前はカナダのオタワで働いていた。私は大学院生の時にモントリオールに留学していたことがあり、その縁でモントリオールに友人が多い