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時をかける少女

時をかける少女
1983年大林宣彦監督
2006年細田守監督
原作筒井道隆

BSで原田知世主演の実写を、アマプラでアニメを観た。
原作は中学生の頃読んだ。
あの頃SFが好きで、眉村卓や栗本薫や新井素子をよく読んでいた。
昭和の尾道、ラベンダーの香りと醤油の匂いが混じるような、SFだけど古きよき学園ドラマ。
何かをきっかけに起こるタイムリープは、時を戻っても間違い探しのよう。
記憶をけされてしまうと、辛さはなくなるけど、未来で再会しても、デジャヴのようなかすかな恋心しか残らないのかもしれない。
平成の東京、二つ折り携帯と二人乗り自転車と、何気ない夏休み前の学生生活。
アニメ版の主人公真琴は、原作の主人公和子の姪という設定らしい。
東京国立博物館で働く和子。彼女が修復していた「白梅ニ椿菊図」その絵を見に未来からやって来た千昭。
何度も繰り返される時間は、思いつきや後悔や些細な意図で塗り替えられてゆく。
偶然に起こるのではなく、遅れてきた人を待つのではなく、走って迎えに行くように、自ら起こすことができるタイムリープ。
大切な人を守るため、というより、大切な人と気づくため。
自分の気持ちに気づくには、何度も失ってみなくてはいけないのかもしれない。
ナイターを見に行く約束も、花火を見に行く約束も、告白された思い出が叶わなくても。
未来の約束があれば、前を向いて生きていける。

もしタイムリープができるなら、あの頃の夏に戻ってみたい。そして、未来からこの年の夏に来たら、どう過ごすだろう。

始まったばかりの夏休みをどう過ごそうか、汗だくになって走り出したくなる、浴衣を着て夜風にふかれたくなる、そんな映画です。

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