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銭湯に行ったら救急車で運ばれた話

私は今まで、三回入院したことがある。タイで胃腸炎にかかったとき、肺に穴が空いたとき、そして銭湯でぶっ倒れたときである。

当時高校一年生だった私は、家族で関西に旅行に来ていた。そこで銭湯に入っていたのだが、私が湯船につかっていると、小学校高学年くらいの女の子が父親と二人で体を洗っているのが見えた。正直に申せば、私は何食わぬ顔で女の子の体をガン見していたのだが、これがまずかった。

そろそろのぼせそうだと、湯からあがったところで私の記憶は途絶えた。気付いたときには、私は救急車のなかにいた。父、母、弟、それから救急隊員たちに見下ろされ、ベッドに横になっていた。記憶の糸をなんとか引っ張り出し、立ち眩みで倒れたのだと私はそこで悟った。頭がぐらぐらと揺れ、眉のあたりがじんじんしていた。

「あと数ミリずれてたら脳に障害が残ってたかもね」

と医師は言った。立ち眩みを起こした私は頭を床に強くぶつけたらしい。血がドバドバと流出し、殺人現場のようだったと言う。その後私は一日入院し、無事翌週から部活に復帰した。変な下心で障害を負わなくて本当に良かったと今でも思う。

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