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糸川郁己がパートナーとして選びたい九州のX人~その1「株式会社キャップドゥ森田晃輝さん」

イントロ

去る2月7日、熊本の株式会社キャップドゥの森田晃輝さん(以下、森田さん)を訪問させていただきました。
彼は、私がいま最も注目している起業家たちの一人です。
今回のノートは彼の話を伺って感じたことなどを記しておこうと思います。

森田さんとの出会い

森田さんとは2017年4月に開かれた、サイボウズ社主催の『kintone hive fukuoka』で共に登壇者として出会いました。
その時の彼の登壇内容は以下にまとめられていますので、ご覧ください。

楽屋でも自己紹介から話が進み、打ち上げでも同じテーブルに座らせていただいてかなり盛り上がりました。
その後Facebookでつながり、お互いの近況は投稿からうかがい知ることは出来るものの、熊本⇔北九州・福岡の距離も相まってなかなか再開が果たせておりませんでした。

その後も森田さんの事業について色々周りからもお話を聞いてたり、私自身も講演する際にベンチマーク先として紹介させていただいていたりしました。しかしネットの情報だけだとやはり彼の魅力は伝えきれないと思い、思い立って会いに行きたいというメッセージを送りました。

森田さんとのメッセージ

11月末にメッセを送って、実現したのが2月頭なので、約2か月越しの訪問となりました。当日は15時に訪問し、オフィスで2時間ほどお話ししたのち、夜の街に繰り出してがっつり語り合ってきました。
実は私は人見知りなので(実は森田さんもそうだったらしいですが)、二人きりでは初めて会う相手とこのように時間の過ごすのはかなり勇気のいることだったのですが、それを快く、そして心地よく受け入れてくれた森田さんに改めて感謝です。

森田さんってこんな人

森田さんは元々、カーディーラーでリース契約(長期レンタル)の法人営業をされていた際にSalesforce(顧客関係管理ソリューションを中心としたクラウドコンピューティング・サービス)に出会ったことをきっかけに同サービスの導入支援を行う企業に転職されたそうです。
その後、議員秘書の経験を経て独立、SaaS(Software as a Services:様々な機能を持つソフトウェアをインターネット経由でサービスとして利用できる。Microsoft社のオフィス製品をオンラインサービスとして使用できるOffice365や会計ソフトのfreeeなどが有名)を活用しながら業務改善のコンサルティングを行う「株式会社キャップドゥ」を2016年3月に開業されています。
現在は社員数14名(うち、雇用契約は5名で他は業務委託等)で、着実に売り上げを伸ばしていらっしゃいます。※今期の売上は約3億とのこと!

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森田さんのここがスゴイ①~パートナーシップ~

キャップドゥのWebサイトを見れば一目瞭然ですが、同社はSaaS提供企業と積極的にパートナーシップを組まれています。記事作成時点でロゴを数えるだけでも17サービス。
お話を伺っている中で特に印象に残ったのは「代理店ではなくパートナー」ということ。ありがちなのが、SaaS企業と連携し、その代理店としてそのサービスを売り込みに回るパターン。これだと、結局のところ、そのサービスの売り込みでしかなく、本当の意味での相手にとっての課題解決にはならないケースもあります。そして、そもそもSaaSの提供費用なんて高が知れているため、それを主軸としてとらえるにはビジネス的にはコスト感があいません。
森田さんがスゴイのは、あくまでも「業務改善のコンサルティング」に注力されており、パートナーとして連携しているSaaSはあくまでもツールという位置づけ。ただし、聞けば様々なSaaSを「まずは自分たちで使って評価してみて良いと思ったもの」をお客様にも薦めているそうです。
なので、SaaS提供企業から見れば同社は「下請け」ではなく、まずは「ユーザー」であり、それをさらに自社のビジネスに活用してくれる「パートナー」となります。
森田さんは「SaaSの営業はしない」と言い切っていました。彼曰く、「SaaS企業の営業力は素晴らしい。だからこそ、我々はSaaS単体では解決できないようなコンサルティングを提供することで、補完関係となる」とのこと。
下請けとしてSaaSの営業をしたところで、相手にとってプラスαの価値提供にはならない、というのは言われてみれば納得でした。

森田さんのここがスゴイ②~徹底した相手視点~

SaaS営業はしない、という言葉もそうですが、森田さんのスゴイのは「自分がこうしたい」というよりも「何が相手にとって良いか」さらに言えば「物事の原理はどうなのか」をしっかり考えられていることと感じました。

例えばイベントの捉え方。Facebookページを見れば分かる通り、同社としてイベントも色々行われていますが、驚いたのは「イベント後のフォローはしない」ということ。
なんでも、フォローをするのは「イベントに来られなかったものの事前にサイト閲覧や問い合わせをくれた人」とのこと。
つまり、イベントに来ていただいた方には価値を提供できているので、その人たちに対してわざわざ後追いで「どうでしたか?」と聞かなくても、良かったと思う人ならあちらから改めて連絡をくれるはず、連絡をくれないという事は提供した価値が合わなかったという事なので後追いするだけ印象が悪くなるとのことでした(私も身に覚えが…名刺交換しただけでメルマガとか印象悪くなりますよね…)。
一方で、サイト閲覧した人などに「どうですか?」と声掛けして「行きたいんだけど、都合が合わなくてね…」といったポジティブな反応を示してくれる人については、個別に対応することでイベント開催前に顧客化することが出来るとのお話は、まさしくマーケティングオートメーション(MA)の真骨頂ではないでしょうか(ちなみに同社では「SATORI」というMAサービスを利用しているそうです)。

また、「顧客が求めているのは実は解決方法ではなく会話だ」という言葉にも象徴されます。
SaaSの適用が目的化するのではなく、相手の課題に寄り添い、相手が自ら解決できるお手伝いをする、という真のコンサルティングサービスを行われていると感じました。具体的には、顧客とのメッセージグループにはメイン担当を決めることはあっても、基本的には複数の社員で対応し、その中できちんと連携しながら進めることで、顧客からのオーダーに柔軟な対応が出来るとのことでした。

森田さんのここがスゴイ③~働き方改革~

森田さんおよびキャップドゥでは働き方改革も進めており、今回伺った本社も当日、森田さんの他には1名しか出社しておらず、他はリモートワーク、あるいはサテライトオフィスへ出社中とのことでした。
リモートワークならではの難しさも色々あるそうで、以前は「フルリモートOK」としていたそうですが、一時期立て続けに社員が辞められたこともあるそうで、その中で気付かれたのは「対面でのコミュニケーションの大切さと、リモートワークの没入感による弊害」とのことでした。特に後者は、リモートワークによりオンオフが効きにくくなり、気が滅入ってしまうこともあるそうで、精神的にきつくなる方もいらっしゃったとのこと。
なので、現在では「基本は出社、ただしいつでもリモートワーク可」としているとのこと。さらに通勤の苦労は軽減したいという想いから、熊本県内にもサテライトオフィスを「びぷれすイノベーションスタジオ」内に借りていらっしゃるそうです。
こちらのサテライトオフィスも訪問させていただきましたが、とてもオシャレな空間で、ここに出社するだけでも気分はアガりそうです。

森田さんとびぷれすにて

(びぷれすで森田さんと。撮影していただいたのはびぷれすを運営されている熊本日日新聞社 ビジネス開発局次長兼開発部長 長澤様です。突然の訪問にも関わらずご対応いただきありがとうございました)

また、オンライン上でのやり取りにも非常に気を使われており、メンバー間はもちろん、顧客とのメッセージのやり取り上でも敢えて「絵文字」を使うよう、徹底しているとのことでした。
相手との関係性づくりにポリシーを持ち、それを実践している森田さんならでは、と感じました。

取材後記

熱い夜まで過ごした中でも、もっと書きたいことはあるのですが、一旦noteはここまで。
「全部オープンにしてます」という言葉の通り、実際の売上構造や顧客層(実名ではなく)の情報も教えていただいたり、私が持ち込んだ質問には全て回答いただけたほどです。

間違いなく、森田さんならびにキャップドゥ社のようなタレントは今の日本に必要とされており、日本各地の中小企業が求めるパートナーとは彼のような方を指すのだろうな、と感じました。

そんな彼のパーソナリティは、というと「人見知りでも仕事と思えば頑張れる」「身の回りのことにはルールを作ってしまって一々迷わなくて良い様にする」「実は潔癖なんです」と言った言葉に表されるとおり、起業家としてのご自身のペルソナとの付き合い方にも気を使いつつ、子煩悩な親としてのパーソナリティとのバランスを取られていらっしゃると感じました。

そんな人間的な魅力があふれる彼だからこそ、抱えていらっしゃるコンサルティング案件のうち、年間解約率が1%程度という驚異的な数字になるのだろうと納得しつつ、再会を約束しながら熊本を後にしました。

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