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ひとりきりの安寧の中で、

まだ、人に会える元気がなかった。


のに、延滞している本があったので、図書館へ赴いた。


もちろん人はいたけど、ぼくを知っている人はいない。(ぼくはここでボランティアをしているけど、ボランティア担当の人はいなかった。)少しだけ、息がしやすい。


リハビリがてら、近くのカフェへ。それなりに人がいて、主に勉強中の中高生で、身のすくむ思いがした。けれど、すでに注文し終えた手前、帰るわけにもいかない。


吉田篤弘『それでも世界は回っている2』。一昨日、半分読み終えていたので、残り半分を読み終えることに集中する。


それにしても、明るい感じのする中高生を見ると、少し怯える気持ちがある。なぜだろう。ぼく自身が中高生だった当時を、思い出すからだろうか。


どのグループにもなじめなくて、唯一の拠り所が部活だったころ。部活も、人間関係は苦労したけど。楽器を吹いている間は、余計なことを考えずに済んだ。


椅子の固さに辟易し始めたころ、本を読み終える。

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さっさとカフェを出て、さてどうするか。少し遅くなったけど、友人がやっている珈琲屋を訪ねるには、間に合う時間だった。どうしよう。ぼくを知っている人に会っても、ぼくはぼくでいられるだろうか。どうしよう。


結局、そのままうちへ帰った。あと少し、一日か二日、リハビリが必要な気がした。リハビリといっても、どうすればいいのか、わからないけど。


気付けば、夕方が近かった。ぼくは、家事を済ませて、コーヒー豆の焙煎もした。

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ささやかな達成感を、一つずつ積み上げる。そのおかげだろうか。その時間帯は、だいぶ静かだったけど、寂しくはなく、むしろ心穏やかだった。ひとりでいることにすがるのは、よくないかもしれない。本当に?


そういえば、と思い、しばらく、自分のためにコーヒーを淹れていなかったので、そうすることにする。夜だったので、カフェオレにした。

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パートナーが帰ってくるまで、プライムビデオで『ア・フィルム・アバウト・コーヒー』を観た。タイトル通りの内容。時々一時停止し、時々メモしていると、最中に「ただいま」の声。残りは翌日(今日)観ることにする。


一日中ではないにしろ、ひとりで過ごすのも、存外悪くない。けれどそれは、ぼくの場合、待っている人がいるからだと思う。コーヒーも、あるいはカフェオレも、飲んでほしい人がいるのだ。パートナーに。そして、たとえばぼくの友人達に。


今日か、もしくは明日には、会う勇気が出るだろうか。少しずつ、まずは、ぼくの好きなことから、話し始めたいと思う。

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