頭痛で、目が覚めた。
外はまだ暗いけど、少し明るい。
雪のせいだ。
「おかげ」とは、言わない。
どんなに頭痛がしても、雨は嫌いになれないのに。
雪が好きじゃなくなったのは、いつからだろう。
たぶん、本当に、閉じ込められてしまうからだ。
どこにも行けない。
逃げられない。
そんな気持ちでいっぱいになって、ぼくはふさぎ込む。
アルネの方は、ぼんやりしているような、あいまいじゃない顔で、ぼくを見ている。
ぼくにしか見えない、ぼくだけの女の子。
べつに、アルネの分だけでも、コーヒーを淹れてもよかったけど。
気を遣ってくれたんだろうか。
どうかな。
どんなに寒くても、火を点ければ、ふつふつと泡が立ち上る、やかんの中。
ぼくは、湯気が消えるか消えないかくらいのところで、軽く手をかざす。
あたたかい。
そう言うと、アルネは、少し笑った。
雪が降っても、そうじゃなくても、少しずつ、外は明るくなる。
ぼんやりした頭でも、それが幸せなことだと、ぼくには思えた。