見出し画像

7/26

4:58起床。

天気は晴れ。
今日は新しい日であることを、否応なく突き付けられる。

どこに行こうか。
どこに……。

一昨日の昼に料った肉じゃがが、昨日の夕方には腐っていた。

気まぐれシェフによって生み出された肉じゃがは、
可もなく不可もなく、けれど特に文句も思い付かない味だった。

材料は2人分、調味料は4人分で料ったから、
肉じゃがというより、肉じゃが風味のだし汁という感じだった。

あんなにさらさらだっただし汁も、
蓋を開けたときには、悪臭を放つスライムと化していた。
僕は、すぐにそれを捨てた。

僕の記憶は、時々飛ぶ。

それが昨日のことでも、
何時に何をしていたのか、
どこで何をしていたのか、
全然思い出せないことが、しょっちゅうだ。

脳みそは、どうでもいい情報から忘れるように出来ているらしい。
だとすると、僕の人生は「どうでもいい」で構成されていることになる。
……どうでもいいな。
あ、今どうでもいいって思った。

一昨日……。

一昨日は、ハローワークに行った。(手帳にメモしてあった。)
次に応募する会社の履歴書の添削をしてもらいに。

障がい特性、それに対して必要な配慮、通院頻度、生活暦……。
障がい者枠だから、そんなことを記入する必要があったのだった。

母さん、嫌がるだろうな。

母さんは、
採用が決まったわけでもない会社に、
個人情報を提供することを嫌っている。
かわいいわが子のことを思えばこそ、なんだろうけど。

知り合いに、障がい者だって知られたらどうするの。
障がい者だって知られたら、一生色眼鏡で見られることになるわ……。

「障がいをオープンにすることのメリット・デメリット」
なんてものを、表にして渡されたこともある。
メリットとデメリットのバランスが、明らかにおかしかった。

メリットなんてほとんど無いんだから、
デメリットを――現実を見なさい。
そういわれているのは、すぐにわかった。
デメリットの一つに、「結婚出来なくなる」があった。
偏見丸出しの、けれどまあ一理ある意見に、僕はやれやれと首を振った。

僕は、はなからどうでもよかった。
子どものころから、他人にも両親にも変人扱いされてきた僕だ。
「変わった人」が「障がい者」になるだけだ。
今更、偏見なんて持ち出さないでよ。
そんなもの、生まれたときから僕のすぐそばにいたよ。

冷蔵庫を満室にしていた食材も惣菜も、
もう口にしたくないものは、全部ゴミ袋に放りこんだ。2袋になった。
ゴミが詰まったゴミ袋は、ゴミステーションに直行した。(させた。)

涼しい。
……涼しい、な。
日中、あんなに暑かったのに。

はは。
肉じゃが(腐)と、涼しかったことは覚えてんだな。変なの。

あー、本当に。
まっとうに生きるって、大変だ。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。 「サポートしたい」と思っていただけたら、うれしいです。 いただいたサポートは、サンプルロースター(焙煎機)の購入資金に充てる予定です。