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暗澹としているだけの、断片

・「慣れれば、大丈夫」が嫌い。
アルコールも。
視覚も聴覚も使わなければならない映画も。
決して慣れないものがあることを知らない人が嫌い。
それをわかろうとしない人が嫌い。
いつまでも慣れない側の自分が嫌い。


・慣れた土地より、まだ不慣れな土地にいる方が、安心する不思議。


・住み始めてから、一悶着も二悶着もあったけど、立地や家そのものは気に入っている。ぼくを脅かすものは、何もない。


・玄関に入るか入らないかのところで、蟻が行列をなしていた。ぼくは列に沿って殺虫剤を噴射した。


・ふいに、片手にしたポメラで、だれかを殴りつけたくなった。


・ひさしぶりに摂取したカフェインで、胃は荒れていない代わりに、精神的には荒れているらしい。他人事のようだ。


・ぼくが障害者に見えないのは、見えないように努力しているからだ。
そんな人が、周りにどれだけいることだろう。


・朝から、液体しか胃に入れていなかった。16時にトーストを食べる。


・ビタミンBのサプリを切らしたのを、また忘れていた。これで3日目だ。鬱症状を抑える、らしい。効果が出ているかは、わからない。願掛けみたいなものだ。


・新品の布巾10枚をまとめている、麻の紐。捨てる前に、これで首を括る様が、頭をよぎる。


・食欲がなくなって、何日経ったっけ。


・隈がひどい。いつものことだっけ。


・Spotifyが「お近くで開催予定のおすすめのコンサート」を何度も表示してくる。iPhoneは、ぼくが東京都千代田区にいると、ずっと誤解している。


・SNSを見ていたら、ゲイであることをカミングアウトした人を、『カミハラ』とかわけわからん造語で非難している輩がいた。吐き気がする。しんでほしい。


・人にたくさん会った翌日は、人に会わないと決めている。買いものには行かないといけない。でも、越してきたばかりのぼくには、知らない人しか見えない。人に会わないのと、同じだ。


・好きなドキュメンタリー映画で、『セーフプレイス』という言葉があるのを知った。今の、この家がそうなのかもしれない。「ぼくを生んだ人達」は、ぼくの家が変わったことを知らない。知らないままでいろ。


・『ファミレスを享受せよ』のサントラをひたすら聴いている。


・永遠のファミレスで、ぼくは気が狂うだろうか。理想郷になるだろうか。


・一日かけて、断片をちまちま貯め込んだ。ひたすら、暗澹としている。


・今日は、『セーフプレイス』に、こもる。

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