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眠りたいだけなのに、どうして?

また、目が覚めてしまった。隣人がうるさい。文句を言おうにも、インターフォンを鳴らしても出てこない。昨日も苦情を出したからか。冷静じゃないぼくは、白紙に赤ペンで文句を書き付けて、郵便受けに突っ込んでおいた。どうにでもなれ。「頭がおかしい」とでも、何とでも言え。こっちは何度も罵られてきたんだ。


動悸がする。けれど、頭は多少すっきりした。頭の中をぶちまけたからか。気付けば4時。何で。こんなことがしたかったわけじゃないのに。何かが解決しては、また別の何かに邪魔をされて。ぼくはただ、ゆっくり眠りたいだけなのに。嫌だ嫌だ嫌だ。以前警察を呼んだときは、厳重に注意してくれて、これで大丈夫だと思ったのに。無力なぼくは、歯嚙みするだけして、持て余した感情を、推奨されない行動に移すだけ。


4時。深夜、もしくは早朝。目が冴えてしまった。こんな時間に起きた日は(それがほぼ毎日続いているんだけど)日中はぐったりしてしまう。けろっとしていても、ふとしたときに、重すぎる眠気に襲われる。ぼくは動けなくなる。嫌だ嫌だ嫌だ。自分じゃなく他人のせいで、不本意な事態に見舞われるのは。眠気は普通、徐々に重くなっていくものだ。ぼくの眠気は、普通じゃない。何でだよ。静かに寝かせろよ。


どうすればいいんだろう。静かに眠りたい。朝まで眠りたい。それだけのことが、こんなに難しいなんて。睡眠薬も騒音の前では無力だ。量を増やすつもりはない。どうせ目を覚ますんだし、体がだるくなるだけだ。それに、少しずつ薬を減らすと決めたんだ。ぼくの決意を邪魔しやがって。どうせお前は、薬に頼ったことがない人間なんだろう。周囲の人達の迷惑を顧みたことがない人間なんだろう。このアパートには、屑もいれば、優しい人達もいる。その優しさに甘えていることに、気付いていないんだろう。ぼくは優しくないから。自分のことで手いっぱいだから。


静かにしろ。たしかに、このアパートは音が響きやすい。だから、多少の生活音はお互いさまだし、アパート内の子ども達が走り回るのが聞こえても、目をつぶっている。(親御さんが大変なのも聞こえてくるから。)でも、それは日中の話だ。他の人達は、夜は静かにしている。お前は夜も昼も関係ないだろ。せめて、夜ぐらいは静かにしろ。これは嘆願じゃない。要求だ。ということを、ここに書きつけても、きっと眠れないぼくだった。

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