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『ブラック・コーヒー』を片手に、ブラック・ティーを

『ブラック・コーヒー』の1頁目に登場したのは、ホットチョコレートだった。


から、ぼくとパートナーの会話が始まった気がする。


ぼくがクリスティを読むのは、これで3冊目で、ミステリーでは2冊目で、ポアロシリーズでは1冊目だった。


(ポアロは、『オリエント急行の殺人』か『ナイルに死す』から読もうと思ったのだけど、探していた棚になかった。あとで、平台に並べられているのを発見した。)


本当は、1作目から読む方がいいだろう、と思ったけど、『ブラック・コーヒー』というタイトルと、1頁目からポアロが口にしている、ブリオッシュとホットチョコレートがおいしそうだったので、つい買ってしまった。


それはさておき、『そして誰もいなくなった』を先日読み終えたばかりのぼくは、パートナー(未読)におもしろかった点をあれこれ話していた。まくし立てていた、と言ってもいいくらい。


ぼくは、本のことになると、饒舌になる。喋るのは下手だから、ほとんど内容がないようなものだけど。


それから、クローズド・サークルの作品で思いつくものを、上げていった。ぼくは、そもそもミステリをあまり読んだことがないので、タイトルしか知らないけど。


綾辻行人の『十角館の殺人』は、その中の1冊だった。


詳しくは知らないのだけど、メディア展開されていたので、存在は知っていた。クローズド・サークルものだと知ったのは、映画版の予告を偶然見かけたからだけど。


という話をしていたのだけど、そのとき、ぼくらは小さなカフェにいて、他に客はいなくて、カウンターの中にいる店長が、なんとなく視線を寄こしている気がした。


それは間違っていなかったらしく、会計のときに話しかけられた。綾辻行人が好きで、以前はよく読んでいたと。


話題に上がったものだから、ぼくもてっきり読んでいると思われたけど、とりあえず、オマージュ元である『そして誰もいなくなった』を読み終えたばかりだから、『十角館の殺人』も読んでみたい、と答えた。


店長は、ずいぶん嬉しそうだった。こんなこともあるのだな、と思った。


そういえば、この前は、別の店で、なにかの流れで思考実験について話していた。すると、隣の席に座っていた女の子達が、急に静かになって、ときどきこちらを見ている気がした。


ぼくらの会話が一段落すると、隣の会話も復活したけど。あとで、見られていた気がする、とつぶやくと、パートナーもそんな気がしていたらしい。思考実験は、そんなに注意を引く話題だったんだろうか。まあ、いいか。


昨日は、会話の糸口になってくれたから、いいけど。本のことになると、声が大きくなるから、気を付けないといけないな、と改めて思った。

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