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生活が、少しずつ戻ってくる?

ホテルにいる。


丁度いい机と、丁度いいベッドがあるだけの部屋。


部屋、でいいんだろうか。扉はなく、カーテンで仕切られているだけの、半個室というか。


ネカフェみたいなものだと思う。行ったことないけど。


今日はようやく、引っ越しする日。


すぐに荷物を運び出せるように、準備をしておいた。


ゆえに、食う寝る風呂入るができない状態なので、どこか安く泊まれるところで一晩を過ごそう、となった。


(ホテルの性質上、男女でフロアが分かれているから、パートナーとも離れている。)


昨日は、ひたすら暇だった。


業者が冷蔵庫や洗濯機を運び出したり、洗濯できなくなったのでコインランドリーに行ったりはした。


段ボール箱の山を、なるべく玄関に近付けると、いよいよ暇になった。


なるべく余裕を持った方がいいだろうと、チェックインは夕方にしておいた。


2、3時間は余った。


コインランドリーで洗濯・乾燥を待っている間に、近くの古本屋で時間を潰したりしたけど、それでも余った。


ここには、玄関の方でつまっている荷物と、固い床しかなかった。


スマホさえあれば、いくらでも時間を潰せるなんて、嘘だ。少なくとも、ぼくにとって。


あれは、布団とか机とか、もたれかかるものがあるから、出来るものなんだと思う。壁に寄りかかるのは、しっくり来なかった。


先の古本屋で、また1冊買っていた。一昨日は、べつの書店で2冊買っていた。


なぜ、引っ越しが近付けば近付くほど、本を買ってしまうのか。


たぶん、目に届く範囲にないからだ。


寂しいんだ、ぼくは。


量は、そんなに読めないくせに。


それはそれとして、新しい生活が落ち着いたら、貸し倉庫に大量に送りつけた本を、今度は取り出さないといけない。


いとしい本が戻ってくるのは嬉しいけど、量が量なので、大変だよなあ、とも思う。


とにかく、ぼくの生活が、少しずつ戻ってくる。


長らく(といっても、数ヶ月のことではあるけど)好きなことが出来なくて、つらかった。と思う。不安定な時期が続いていたから。


もの書きも、読書も集中できなかったり、珈琲豆の焙煎も、下準備をすることすら出来なくなって、なにもかもがずいぶんと制限された。


でも、もう大丈夫。と、思いたい。生活が落ち着くまで、ある程度かかると思うけど。


横を向くと、すぐ壁があって、そこには鏡がかかっている。


ぼくの顔は、変わらず生気のないままだ。

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