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うるせえ、うるせえ、忘れさせろ

3/27。

6:00起床。

天気は晴れ。





昨日、嫌なことがあった。それはそれは、嫌なこと。こんなとき、ぼくは一層ぼんやりする。「このまま、忘れてしまえ」忘れてしまえば、無かったことにできるから。悪いことも、良いことも。良いことだけ覚えているなんて、器用なことはできないから。


ひさしぶりに、頓服を飲んだ。包装に「不安時」と大きく印字されている。いつぶりだろう。しばらく必要なかったから。いつ処方されたのか、忘れてしまったけど。飲むのはぼくだから、大丈夫。大丈夫。ほんの少し甘い細粒よ、ひさしぶり。できれば、会いたくなかったよ。3袋飲み終えるころには立ち直っていた。少しだけ。


薬がないと、生きられない。病院は、ぼくを解放してくれない。「解放して」と言っても、治療を変えてくれない。じゃあ、行かなければいいんだろうか。でもこのままじゃ、「死にたい」自分に戻ってしまうよ。薬は減らない。むしろ、増えている。だんだん、引き返せなくなっている? 薬を必要としなかった数年前の自分には、二度と戻れない? ああ。生きたいのに、死にたいな。


小説を書いている。短歌も書いている。よく歩いている。食事はあんまりしたくない。時々コーヒーを飲む。ぼくは、何のために生きている? 「何のためでもないよ」ぼくは、わかっている。


どうして生きなきゃいけないの? どうして死んじゃいけないの? 生きても死んでも、迷惑がかかるなんて。人間以外の生きものは、死んだら他の生きものに貢献できるのに。人間は死んだら、骨になるだけだ。


ああ、だめだだめだ。よくない傾向だ。昨日は、無かったことにしたはずだろう? 何も思い出すな。何も。生きるためだ。死なないためだ。死にたくなっても、生きると決めたんだ。誰に決められたわけじゃない。自分で決めたんだ。


「お前は、どうしようもない人間だな」うるせえ。自分を「どうしようもない」と言っていいのは、自分だけだ。お前は黙ってろ。……お前? お前って誰だ? 思い出すな。思い出すな。きっと、ろくでもない奴だ。ぼくをいじめてきた、ろくでもない奴らだ。


昨日のことは、これでおしまい。無かったことにしたんだから。一昨日も、一昨昨日も。忘れることで、生きている。何もかも忘れるのは、嫌だけど。でも、そうじゃないと生きられない。どうしようもないぼくを、どうか許して。





「僕だけが、鳴いている」


これは、
ぼくと、ドッペルゲンガーのドッペルさんの話。


連載中。


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