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うろ覚えのダージリンと、奇妙な夢

ダージリン。


よしもとばななの『キッチン』の主人公が、臭くて嫌いな茶だと言っていた。(うろ覚え)


あと、柴田元幸も同感していた。(『つまみぐい文学食堂』より)


ので、たまたまメニューにあったから、頼んでみた。


よくわからなかった。


鼻がきかないせいかもしれない。


臭いかはさておき、独特な香りがするんだろうと思っていた。


やっぱり、よくわからなかった。


夕方に、パートナーとお茶をした。


ひさしぶりだった。


いつもなら、パートナーの休みの度に、出かけているのだけど。


最近は、引っ越しの準備で、お互いに体力も気力も削られているから。


「あとで行こう」と言っても、その「あと」は、来ないのだった。


なので、昨日のぼくらは、ゆっくり過ごした。


ぼくは、昼になって、少し眠った。


また変な夢を見た。


(いつものことではあるけど、最近は、奇妙さに一層磨きがかかっている。)


目が覚める直前くらいに、夢の中のぼくは、髪の毛を吐き出した。


なにか、藻も絡まっていた。


現実に戻ってきても、思い出そうと思えば、その感触は蘇った。


ひどい終わり方をした夢だったけど、体はずいぶん軽かった。よく眠れたのかもしれない。夢が鮮明になるまでは。


ぼんやりしていると、パートナーが帰ってきた。

そういえば、舟を漕ぎかけていたくらいに、少し出かけると言っていた。


それから時間も経たない内に、配達員がやって来た。集荷のために。


ぼくらは、本のつまった段ボール箱を10箱、バケツリレーのように渡していった。


引っ越しに大変だろう、ということで、本専用の貸し倉庫に送る。


(すでに10箱送っているのだけど、もう、この際ほとんど送った方が体のためなんじゃないか、という結論の元に、追加で発送した。ちなみに、本はまだ残っている。)


部屋も、少しずつすっきりしてきた。


気分のよくなったぼくらは、軽く外食をして、それからお茶をした。


「ダージリンは臭い茶である」に共感できないまま、熱すぎるそれをすすった。


(熱すぎるからわからないのでは? と思ったけど、冷めてもやはりわからなかった。)


岩波文庫の『灯台へ』を開く。はじめてのヴァージニア・ウルフ。


ぼくが持っている本の中でも、時間の流れがずいぶん遅い。


それが、ぼくに合っているらしく、心地よく感じた。


今度は、小物類を片付けないといけない。


と、頭の隅で思った。

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