いつになったら、明るい場所へ出られるんだろう
あらすじ:義父母とパートナー、それからぼくで、昨日は出かける予定だった。けれど、一昨日精神的に不安定になったぼくは、自分は行かないことをパートナーに伝えた。体調不良かなにか、適当に理由を言ってもらうように、お願いもして。
そして、当日である昨日。ぼくは、本当に体調不良になった(貧血の悪化)。これが、ウソから出たまことなのか。もしくは、身から出た錆。少し違うか。なんでもいいけど、本当に行けなくなってしまった。
そもそも義父母が、パートナーと、つまり自分の子どもに、プレゼントを渡すための外出だった。ぼくは、いなくても問題ない。そう言い聞かせた。
それに、今こうして書き起こしてみると。もし、実際にぼくがその場にいたら。自分の身内と比べて、吐き気を催しそうな気がしてきた。
横になって、目まいに耐えて。それでもぼくは、本当に具合が悪くなったことに安心していた。仮病を使わなくてもよかったことに。仮病でもそうじゃなくても、行かなかったことに変わりはないんだけど。
義父母に、ぼくの両親について、訊かれるのが怖かった。訊かれる度に、ごまかすけれど。いつか、それがバレるんじゃないか。もしくは、もうバレているのか。怖かった。
靴を買ってもらい、お茶をしてきたパートナーは、小さなケーキボックスを片手にぶら下げていた。中には、ケーキが2ピース入っていた。お義母さんから、ぼくへのお土産らしい。
「季節の変わり目で体調が悪い。そう言っておいたよ」
「ありがとう。それで、なにか言ってた?」
「『それは、外に出るのもしんどいわね』って」
「……」
自分の両親と、違う人間とわかっていても。
甘えるな。
怠けるな。
お前が弱いからだ。
そんな風にしか言われてこなかったぼくには、同じ風に思われていたんじゃないかと、怯えていた。そんなことはないと、わかっていたのに。
その夜に、パートナーを通じて、義父母にお礼の電話をした。今度、予定が合ったときに、パートナーとそちら(義実家)へ行くと。
次は、大丈夫かな。まだ、大丈夫じゃないかもしれないけれど。
パートナーにも、義父母にも、友人達にも。彼らの優しさに触れることに、まだ慣れていない自分がいる。
自分を生んだ人達のように、これまでぼくを軽んじてきた人達のように。ぼくをなじって、踏みにじってきたことばに、呪いのように縛られている。
疑心暗鬼の自分が、明るい場所へ出られるのか、わからない。
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