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怖いようで怖くない、あんまり怖くない話。

いや、本当に怖くないと思う。とりあえず、当事者のぼくは。パートナーは、「アパートって、お祓いしてもらえるのかな」とのんきに言っていた。そんな感じの、のんきな話。


アパートでポルターガイストが起こる。(ポルターガイストで正しいのかも、わからないけど。)いつでも、というわけじゃない。コーヒーを淹れているとき。


あとで見返せるように、コーヒーを淹れる最中の様子は、スマホで撮っている。ビデオなので、当然カメラで映している画だけじゃなく、録音もされている。


車の音。流しているCDの音。外で吠えている犬の鳴き声。色々入っている。のだけど、出処不明の音も、毎回必ずといっていいほど入っている。


たとえば、「ガシャン」という大きな音。洗い物の山が崩れたのかもしれない。と思うけれど、あとで確認すると、そんなことはない。それに、それよりもっと大きな音のような。


その日によって音は大きかったり小さかったりする。どちらにせよ、淹れているときのぼくには聞こえていない。聞こえていないというか、気付いていないというか。(後者の可能性の方が高そうだけど。)


それにしても、毎回予想の付かないなにかしらが録音されているのは、何事だろうか。まあ、ビデオを見返しているぼくが気にしているのは、自分の手元とかなので、問題はない。害はあるかもしれないけど。その辺はさっぱりだ。


あくまで、スマホで録画しているそれで聞こえているので、人間の耳が拾わない音を機械が拾っている。という考えで、ひとまず納得している。まあ、正直ポルターガイストでも、それはそれでいいんだけど。命の危機にさらされたことはないので。


それを気にし出したら、ミニテーブルに乗せていたタオルが落ちるとか(端に引っかけていたわけではない。)明らかに台所の方からなにかを叩く音がしたとか。特に最近は、色々あるけど。……いや、これ気にしているのか? 


書き出してみたら怖い話になるかな。と思ったけど、まったく怖くない。たぶん、そもそもぼくが怖がってないからだ。根本が怖くないので、それ以上怖くしようがない。


それに、そのときしかビデオを回していないとはいえ、コーヒーを淹れるときしか起こらないし。まあ、幽霊かなにかだとしても、大丈夫だろう。たぶん、いい奴だ。なにか出てきたら出てきたで、ごちそうしてあげよう。

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