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こども×デザイン思考: 「かっこいい」ロボットを作る | 言葉を形にするデザインワークショップ

先日ajike社内で「こども×デザイン思考」のワークショップを開催しました。

今回はプロジェクト発足のきっかけや、ワークショップ開催までの事前準備と当日の様子について公開します!

当日の様子は、実際に参加したajikeのデザイナーも先日記事を書いてくれたので、よければそちらもぜひご覧ください!

プロジェクトの発足

UXデザインカンパニーであるajikeが今回、なぜ「こども×デザイン思考」のワークショップを開催したのか、それは今年の始めに行ったデザイナーチームでのCAMPがきっかけでした。

CAMPの詳細に関しては以下の記事でまとめています。詳しくはこちらをご覧ください。

CAMPでは、2019年のデザイナーチームのミッションを検討するにあたって、チーム内の視座を合わせ、ajikeのデザイナーチームとして、どんな課題やテーマに対してアプローチしていくべきかをディスカッションすることを目的として実施しました。

その中で、「デザイン力」の向上や「デザイン思考」を社内外に広めるというのが大きなミッションとして上がりました。その中のアイデアの1つが「こども向けデザイン教育」でした。

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最近では、「プログラミング教育」が小学校の授業に組み込まれることが決まり、問題解決型の思考力が重要視されています。
同じように「デザイン」に関しても学校などで早くから学ぶことで、デザイン力が身につき、失敗を恐れず自由なアイディアを発想できる大人になれるのではないかと考えました。

「デザイン」を学ぶということは、デザイナーでなくても色々なことに役立ちます。例えばアイデアを出すことが求められた時、大きな課題に直面した時、デザイン力があるかどうかで状況は好転します。

今回、そんな考えから、こどもたちに向けてワークショップを実施することが決まりました。

チームの方針

チームの進め方としてはまず方針から整えつつ、徐々に詳細に落とし込んでいく流れで、はじめに行ったことはチームのビジョンとミッションの設定です。メンバーが各自大切にしたいワードを持ち寄って決めました。

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これらを集約して定めたビジョンが、「好奇心を大事に、誰もが冒険できる大人になる」です。大人になっても、失敗を恐れずに好奇心を持って前へ進んでほしいという意味が込められています。また、ビジョンから落とし込んだミッションは、「チャレンジと失敗を繰り返し、アイディアを実現できる力を育てる」に決まりました。

体験を通じて学ぶ

チームのビジョン・ミッションが決まりましたが、そこからいきなりワークショップの案出しを行ったわけではありません。ワークショップを通じて子どもたちにどんな体験をしてもらいたいのか、コンセプトとして一旦整理しました。

結果的に考えたワークショップのコンセプトは「体験から「デザイン」を学ぼう!」です。わたしたちは、物作りや体を動かすことから学べる、好奇心の膨らむような体験をしてもらうことを重視しました。こどもたちも話をじっと聞くよりも、体を動かすことの方が絶対楽しいはずですし…!

ただここで一点問題が起きました。
コンセプトを決めたものの、果たして参加していただく親御さんやこどもたちに、わたしたちが言う「デザイン」は本当に伝わるのか疑問に思ったわけです。本質はそこにあるので、その意味が伝わらないと、ワークショップの価値を最大限に提供できません。

参加者に伝わるよう「デザイン」を言語化する必要がありました。
出来たこども版の「デザインとは」がこちら。

1. みる(観察)
「なんで?」「◯◯ってなんだろう?」とモノゴトを観察していくことで、本質を探っていきます。

2. きづく(疑問)
モノゴトの仕組みを理解することで新たな疑問が生まれます。
「◯◯はこういう仕組みになっているんだ。でも◯◯の方がいいんじゃないかな?」

3. かんがえる(仮説)
では何をすればその疑問を解決できるでしょうか?
解決方法を考えてみましょう。

4. ためす(実験)
考えた解決策から試作を作り、自分の考えが正しいかどうかを実験します。

5. ふりかえる(改善)
実験をして終わりではありません。実験を通して分かった、良かった点と失敗した点を振り返って改善方法を考えます。1に戻ってアイデアをよりよくさせていきます。

ワークショップ案

ここでようやくワークショップの案出しに入るわけですが、事前の認識が揃っているのでここでは大きな苦労はありませんでした。各自アイデアを持ち寄って議論しました。

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余談ですが、自分が提案した「川をせき止める」は総ツッコミを喰らいました。

今回選ばれたのは、「テーマに沿ってなにかを作る」
まずはミニマムで試したくて、開催難易度の低いという理由からこれに決まりました。

ワークショップ開催!

おまたせしました、いよいよワークショップ開催です!

参加してもらったこどもたちは幼稚園児・小1・小4による男児5人で、学年に関係なくほぼ同じことをしてもらいました。

テーマは「かっこいいロボットをつくろう!」

まずはこどもたちとコミュニケーションを取るためにも、写真を見せながら質問をしてみました。

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じぶん「この写真をみてどう思いますか??」
こども「いぬだ!」「ちっちゃーいーー!」「もこもこしてる!」「かわいい!!」

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じぶん「じゃあ次にこれ!」
こども「きょうりゅう!」「つよそう!」「ティラノサウルスだ!」「なんかこわい!」

きょうりゅうの流れからかっこいいに繋げられると思ったら、その回答は出ませんでした。
でも個性という意味では、もちろんおっけー。

こどもたちがとても元気に回答してくれたので、ファシリテーターの自分としてはとても助かりました。

かっこいいものってなんだろう?

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初めの質問を終えたら、こちらが用意した「かっこいい」ものが描かれたカードから、好きなものを選んでもらいました。

みんな早いもの勝ちと知るや否や、スタートの合図と同時にカードは取り合いになってあっという間に無くなりました。
写真に写っている4年生の子は、「わし」や「おおかみ」などを選んでいますね。
あまりにも凄い勢いで選んだカードなので、本当に自分がかっこいいと思って選んだのかは謎です…。

かっこいいものを選んだら、それがどうしてかっこいいと思うのかを考えます。

このパートはすごく大切で、モノの本質を探る作業であり、いわゆる観察力を身につけることができます。ここでの観察によって最終的なアウトプットは変わってきます。

上の写真の「わし」であれば、

- 目つき
- 色合い
- 飛べるから

と書いていますね。視覚的にかっこいいと思う要素を迷うことなく抜き出せたようで、素晴らしかったです。

「かっこいい」ロボットをつくる

かっこいい理由がわかったら、次はロボットのアイデア出し。

簡単に設計図を書いてから作ってもいいよとは言いつつも、それはまだ難しかったらしく作りながらアイデアを練っていました。これも事前準備をしっかり固める大人との違いかもしれません。

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粘土をこねたり…

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画用紙を器用に使って羽のようなものを作ったり、

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こちらでは、ペットボトルにリボンをつけようとしています。

わたしたちは一人につき一人の体制でサポートしながら見ていましたが、どんなものが出来上がるのかすごくワクワクしました。

完成!

こうして出来上がったのがこちら!

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【4年生】すごい、黒い羽が生えています!顔手足も全て揃っています。

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【4年生】今にも飛びだちそうな飛行機です!風船も付いているのが斬新ですよね。

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【1年生】かっこいい=とべる そこから発想して風船の空気を使って飛べるロボットだそうです!

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【1年生】すごく独特なロボット!中に、レゴがたくさん入っていて、振るとガシャガシャと音がなります。

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【幼稚園児】こちらも見たことのない変わった形です!なんとブルドーザーから着想を得たロボットです。

作るこどもによって、全然ちがった個性を持つロボットばかりですよね!どれもとっても素敵です。。。

工作の過程を言語化

最後に振り返りも兼ねて、ここまで考えて作ったことをシートに言語化してもらいました。

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やって終わりではなく、振り返りを行って思考を可視化することも今回は大切にしていました。
今回のワークショップで学んだことを成功体験として、次のアクションに繋げるための原動力としてほしいのです。

こどもたちにとってはこれはそのまま夏休みの自由研究となります。それもあって親御さんは安心した様子でした。

参加者の声と今回やってみて

反響は良かったです…!
親御さん方には「またワークショップが開催されたら、ぜひ参加したい」とのお声を頂いたり、こどもたちも作った物を家で遊んでいるとのことでした。とても嬉しい!

開催前は不安が多くありましたが結果的に成功し、やって良かったと思います。

こどもたちは自分たちの思う以上に創造的で素晴らしく動きをみせてくれていてとても感動しました。こちらが学ぶことも多くありましたし、参加者も主催者も楽しみながらできたと思います。反省点は色々とありましたが、それを見つけるためのワークショップでもあったので、ある意味目標は達成できました。今後はそういった課題をアップデートしていき、いずれは社外でも開催する予定です!
その時はどこかでアナウンスをすると思うので興味のある方はよければ参加頂けると嬉しいです。きっといつもと違う体験ができること間違いないですし、デザイン思考の考え方を物作りを通じて学ぶことができると思います!

とりあえず、今回のワークショップは想像以上に大変で、毎日こどもたちのお世話をするお母さんや保育士さん方の存在のありがたみを身にしみて感じました。

こどものワークショップ開催費にします👦