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年の終わりをつげるレース【#写真から書いてみよう】【掌編小説】

「さあ今年も始まりました!年に一度、その年の総決算。『サンタレース』の開幕です!」

毎年おなじみのニュースキャスターは、マイクに向かって息巻いた。

「クリスマスと言えば、プレゼント。プレゼントと言えばサンタクロース。そしてサンタクロースはみなさんご存じの通り1人ではありません。2人?3人?いえ違います。現在では、その数300人以上のサンタが毎年クリスマスのプレゼントを配るために配備されているのです。そして世界中の子供たちのもとへプレゼントを届けるために、この一日に心血を注ぐのです」

「いつから始まったのか、誰が言い出したのか。細かいことはわかっていませんが、現在では彼らがいかに多くのプレゼントを配ったのか?というのを評する意味で、プレゼント配布数を競うこの『サンタレース』が、毎年の風物詩になっています。勝敗は『どれだけ沢山プレゼントを配ることができたかどうか』ただそれだけ。単純明快なレースですが、これが無ければ年を終えることはできません。プレゼントを配った数の最も多いサンタが、今年の『キング オブ サンタ』となれる栄誉を勝ち取ることができるのです!」

誰よりもそのニュースを伝える、ニュースキャスターが一番興奮しているようだ。だがそれも仕方がない。ニュースを伝えるものとして、取材を通し、彼はそのために一年間技術や体力を磨いてきたサンタたちの苦労を知っているのだ。その苦労を知っていれば、前のめりになるのを誰が止められるだろうか。

「もちろんスピード違反は厳禁です。空の道とはいえ交通ルールは守りましょう。昨年違反をしたデイビットとオスカーに関してはペナルティとして、今年は赤鼻のトナカイと一緒にまわることが決められています。目立つのでみんなに笑われること間違いなしです。それに重いから、彼らの優勝は今年は難しいかもしれません。こればかりは自業自得ですね」

「見ている皆さんは誰が優勝するのか、ふるって当てにいってください。当選者には、今年も優勝したサンタからの特別プレゼントがございます。サンタには栄誉を!皆様にはプレゼントを!世界中の人の笑顔のために今年も彼らは手綱を握るのです」

熱が入りすぎて、若干目に涙が浮かんできているようだ。そして、熱弁をふるう間にも着々と準備は進む。

「さあて、今年一番多くプレゼントを配って回って、世界中に最も多く笑顔を振りまくことができたサンタ……『キング オブ サンタ』の栄光は誰のものになるのか。今年も全員スタートラインに揃ったようです!では……今年も、年の終わりを始めようではありませんか!いざ揃って………………サンタレース、スターート!!」


『#写真から書いてみよう』というタグで、書いてます。
その名の通り、写真を先に選んで、書く内容を決める、というものです。詳細はこちら。そのうちまとめさせていただくので、参加したい方は是非どうぞ。誰でもウェルカムです!


#エッセイ #コラム #写真から書いてみよう #掌編小説 #クリスマス

「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)