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多様な人材「夜間中学」の教育とは?

夜間中学と聞いて、おそらくほとんどの方はどんなところなのか、分からないことがほとんどだと思います。実際私も調べて勉強するまでは、どんな場所でどんな人たちがいて、何をしているのかさっぱり分かりませんでした。

あまり知られていない夜間中学ですが、実は社会とのつながりを考えるに、とても大切なんです。なぜ大切なのか、今回はそんな夜間中学について、教育の視点から現状と課題について書いていこうと思います!

夜間中学とは何か?

夜間中学とは、どんな場所でしょうか。夜間中学の正式名称は『中学校夜間学級』です。定義について確認してみます。

夜間中学」・・・学齢(満15歳)を超えた義務教育未修了者に中学校教育を行うため夜間に開設される学級の通称で、正式には中学校夜間学級。(出典:朝日新聞社「知恵蔵」より)

つまり、貧困、戦争で機会を失った人、外国籍の人、病気、いじめなど、様々な環境下で生きてきた人たちが教育を求めて一緒に勉強する場所です。これだと私の言葉でざっくりすぎるので、もう少し詳しく中身を見ていきます。

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数字で見る夜間中学のはなし

夜間中学について話をする前に、認識していただきたいことが1つ、、

それは、日本の小学校の就学率は約100%で、中学校の就学率は約99%なんです。(ちなみに就学率とは、「学齢児童・生徒の総数に対する学校で教育を受けている人の百分率」のこと)

100%だと、100人いたらほぼ全員が学校にちゃんと通えているわけですよね。しかし、裏を返せば中学校の就学率99%に入れなかった残りの1%の人たちが、夜間中学に通う人々にあたるわけです。日本では学校で教育を受けることが当たり前と認識されていることが、夜間中学に通う人々にとっては当たり前ではないということです。そんな取り残された1%の人々に対して、どれくらい政府や自治体は関わっているのでしょうか。

現在、9都道府県(埼玉、千葉、東京、神奈川、奈良、京都、兵庫、広島、大阪)に33校存在しています。(東北がない、、!泣)全生徒数は1,687人(平成29年)で、そのうちの約8割が外国籍をもった人だそうです。驚きです。

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外国人の中でも断トツ中国人がトップですね。移民受け入れ拡大をし始めた日本は、今後さらなるあらゆる国籍の人たちが夜間中学に通うことが見込まれると思います。

夜間中学に通う人たちは基本的に15歳以上が対象で、戦争が激化し教育を受けられずにいた80代の方々も一緒に勉強しています。週5日、17:30~20:45(4時間)、公立学校と同じような科目を勉強します。在留資格があれば日本語が話せなくても入学はできるようです。

気になる授業料ですが、義務教育なので基本的に授業料はかかりません。ただ、美術・技術・校外学習費用として、合計で3万円近くはかかるのだとか。プラス、学級内で修学旅行や遠足に出かけたりするとその費用は学校によっても変わるようです。

卒業後は中学校卒業の資格が認められ、高校に進学する人の割合が一番多く、職業訓練も兼ねてさらなるステップアップのために勉強ができるようでうす。

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入学の目的

夜間中学に通う人たちは、どのような目的で入っているのでしょうか。

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実は、読み書きの習得を目指して入学している人がほとんどです。次に中学教育の終了、高校への入学と続きます。就業資格を取るために、日中仕事をしながら勉強をする方々もいるようです。

「夜間中学」における課題

ここからが本題です。(既にあった情報を調べて載せるのは誰にでもできます。しかし、その上で自分が考えた課題と意見について書きだす作業こそ、noteでアウトプットする最大の効果だと思っています!)

ということで、内容を書いていきます。

1.日本語を教える教員不足

各学校にもよりますが、外国人が多くいる教室の中で学ぶには、日本語を教える教員がいることは最低条件です。数学、国語、理科など、様々な教科を教えながら外国籍の人たちに日本語を教えるとなると、莫大な仕事量と時間を要することは想像できます。マンツーマンで教える方法だと、最も早く生徒一人一人のニーズにも対応した形にもなりベストなのですが、圧倒的に教師の人数が足りていません。現場の教育関係者からは「今の仕組みで夜間中学にすべての役割をおわせるのは無理がある、外国人への日本語教育を担うなら十分な教員の確保を含めて支援を拡大してほしい」との声もあるようです。外国人の日本語教育と夜間中学を同じ学習施設で勉強するとなると、どうしても他の通う生徒たちの学習進度が遅れたり、メインで習いたい事が時間内で習えないなどの問題が生じます。そのため、外国籍の人たちに対しては、日本語をある程度学んでから夜間中学に入るという選択でも、教育環境にプラスになるのではないかと思いました。

2.そもそも「夜間中学」の存在が知られていない

前述しましたが、夜間中学に通う人々は日本の就学率の1%にも満たない人たち。そこにあえて焦点をあて力を注いでいるボランティアさんや、何らかの組織、教師の方々には脱帽です。夜間中学の存在を知らない人も知ってる人も、その人達の存在と思いを理解することは大切だと思います。関心のある人のみが知って協力しようと思っても、結局夜間中学に通った人々は、卒業して最終的に日本の社会の中に溶け込まなければいけません。知るきっかけを持つ必要があると思いました。

3.社会との関係性が脆弱

いづれかは夜間中学を卒業して社会に出なければいけない時期が来ます。その社会の中で、色んな人々との出会いと新たな経験をするのに、夜間中学にいた空間に安堵したり当たり前だと感じてしまうと、社会との関わりが見えなくなる危険があります。他人との関り合いの中で、夜間中学を出た人が自分の人生をきちんと切り開いていけるかどうかは非常に大切な話です。

ここでは3つの関わりそうなセクター(政府、企業/民間、夜間中学)を例に出して考えてみます。

①【政府】

2019年8月時点で、文部科学省は「全ての都道府県に夜間中学を設置する」と公言しています。また、2020年度予算を夜間中学に関連する経費として、1億3千万円程度を資金を見込んでいます。しかし、具体的な使途が定まっていなくて、全国に設置するという話も定かではありません。事実、茨城県や徳島県では、需要や維持費を加味して考えると新設には前向きではないとのこと。政府や自治体の動きとしてはいまだ不透明なのが現実です。

【企業/民間セクター】

外国籍の人たちが多いと何度も話していますが、言語の障壁を考慮して、学校にICT(情報通信技術)を導入し、多言語翻訳に対応できるようにしている企業もあるようです。確かに便利かつ迅速だけど、言語の習得にはやはり実際に文字を手で書いて起こす作業そのものが、学習の大切な基礎能力につながるのではないかと個人的には思います。小学校のとき、鉛筆で1文字1文字ノートに書いて覚えたのと同じように、やはり言語を学ぶ上で一番大切なことは、「自分で紙に書いて文字におこす」という作業そのものだと思いました。機械ベースで習うのは、徐々に自分の体で慣れてある程度の基礎が固まってからの方が良い気が、、

しかし、理科や数学など、日本語が分かった状態で新たな科目の知識をつけるとなると、ICTの活用はとても便利で勉強に捗ると思います。色や分かりやすい図などで理解することができれば、学習効果にはとても役立つと思います。

【夜間中学】

そして夜間中学です。夜間中学の人々(特に子ども)は、そのあとの将来、社会の中で生きるときが勝負です。卒業しても、外で仲間ができなかったり経済的に厳しくまた勉強をやり直したり、いじめに遭ったりする可能性はいくらでもあります。卒業後の進路がとんとん拍子にうまく全ていくかどうかは、自分自身によって決まってくると思います。

「政府や自治体の支援」「企業側の雇用拡大や入社における配慮」「夜間中学の教育体制」、この3つ社会の構造と関りを考えていくことはとても大切だと思います。

まとめ

就学率ほぼ100%の日本に対し、わずかの割合で就学できない環境にいる「夜間中学」に通う人々。それぞれの教育を受けるニーズが異なるため、まだまだ課題は山積みです。手厚い援助をすると宣言した政府も、今後の具体的な方針が決まっておらず(調べた限りでは)、難しい課題に直面しています。

まずは夜間中学の存在と、どうして彼らがそこで勉強をしているのか理解することは大切ですね。

実際の夜間中学に通う人々がどのような思いを抱いて学んでいるのか、読んだら少し感動したので画像ですが紹介したいと思います。

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お読みいただきありがとうございました!






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