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私とpmconf

pmconf 2022が終了しました。今年はオフサイトの交流会もあり、久しぶりに直接いろいろな方にお会いする機会があったというのが大きな変化だったと思います。これを実現するために動いてくださった運営の方々に本当に感謝しています。

ここで、誰に頼まれたわけでもないのですが、これまでのpmconfの思い出を書きます。

pmconfとの出会い

私はpmconfには初回から参加…していたわけではなくて、私がpmconfを初めて知ったのは2017年でした。しかし当時は仕事の状況的に外部イベントに参加するために穴をあけるなんていうことが全くできなかったため、参加は断念しています。

2018年、転職により時間が捻出できる環境に移った私は初参加を果たします。当時はまだオフライン開催で、トラックはひとつだけでした。Ask the speakerは会場外の廊下で行われていて、1人ずつだったから長蛇の列でした。
宣伝っぽいことばかりのしょうもないセッションもあったけど(申し訳ない…けど本当にそう思った)、何人かの登壇者の方々は本当にキラキラしていて、得るものも大きくて、この2018年のpmconfで私は「いつか絶対ここで話す!」と強い決意をしました。絶対にここに登壇者として参加したい。

何年かかってもいい、絶対これを叶える、と本当に思っていました。まさかそれがたった2年後に叶うとも知らずに。そして次の日から、私はそのために行動に移りました。

次の日からやったこと

当時私が所属していた会社は、外部講演について厳しいルールが設けられていました。普通にルールに従えば私は外部講演などできないのです。
そこで私は上司に「いつか絶対ここに出たいんだけど」と言い、彼は私が外部で講演することを正当化するための材料集めを手伝ってくれました。

そしてもうひとつ、私がやろうとしたことは、前例をつくることです。pmconfからお声がかかったときに社内で議論を始めるのでは絶対に遅いので、まずはどこか別のイベントに出ようとしました。幸運にも別のイベントに登壇する機会をいただき、予想通りとっても面倒な社内の交渉を切り抜け、晴れて私は外部講演をするという前例をつくることに成功しました。

あとはひたすら、プロダクトマネージャーとして少しでもキラキラしたエピソードを集めるべく、真面目にプロダクトマネジメントをしていました。失敗談とかをあまり外に出したがらない会社なので、キラキラしていないとダメだろうと思ったのです。

そしてチャンスはやってきた

私は目を疑いました。pmconf 2020 は公募があるというのです。これは絶対に絶対に絶対に応募しなければならない。プロポーザルを作るのに何時間かけたかわかりません。でも絶対にこのチャンスを逃すことはできないと思いました。次の年に同じことが起こる保証はなかったから。

(でも実は、その前にpmconfのミニイベントがあった時からもしかして超もしかして公募とか始まるのかなというのはうっすら感じていました。)

社内の処理を済ませ(前例があったからすんなり通った)、渾身のネタで応募を果たし、そして最終的には採択されるというちょっと出来すぎた話。当時、公募枠はかなり少なかったと記憶していますが、そこにどうにか滑り込むことができました。正直、他の応募者と差をつける要素があったとすれば会社のネームバリューかつIT企業じゃないということなのかなと思っています。

pmconf2020

初めての登壇は緊張でガチガチになっていたのを覚えています。登壇20分前に突然PCがシャットダウンするという怪奇現象のせいが8割。裏番組が錚々たる面々で、私のところには身内だけしか来ないんじゃないかという心配もしました。

それでも意外と多くの方に聞いていただき、DiscordでもTwitterでもポジティブなコメントをたくさんいただき、嬉しかったというよりまずは安心しました。

実はpmconf 2020は私にとって、ただ目標を達成したというだけではなく、ふたつの転機をもたらしました。
ひとつはTwitterです。それまでTwitterのアカウントが鍵と匿名趣味アカしか無かったのですが、「あ、そういえば登壇者って資料とかツイートするよな…」と思って、講演後にアカウントを新しく作りました。それがこちらで、このアカウントのおかげで今日に至るまで一体いくつの出会いがあったことかという感じです。

もうひとつは、実はこのpmconf 2020で同じく公募枠で登壇していたのが後に同僚になる笹口だったのですが、彼の講演で私はキャディという会社を知ったのです。ここでキャディを知らなかったら、私はキャディを永遠に知らなかったかもしれない。知らない会社には、入社できないよね…

初登壇の、その後

人の欲とは不思議なもので、一度目標を達成しても満足せずむしろもっと欲張りになってしまうものです。私は無事にpmconf登壇という目標を達成した上に、満足度でも上位に選んでいただきました。

蓋をあけてみれば満足度上位は公募枠の人達が多く、新しい試みによりチャンスをくれたpmconfに対して私達はある程度報いることができたと思います。

でもさ。
なんで1位とれなかったんだろうね私?

いや、あのランキングには文句ないんです。他の人達に私より素晴らしいものがあったのは事実。私が参加者でもそういう評価にする。

でもさ。
本気出したらとれるよね私?

本気で1位を目指した

pmconf 2021も公募があり、且つ枠が大幅に増えると聞いて、再度応募することをノータイムで決めました。絶対、今度は絶対、満足度1位をとりたい!

しかし、前年私の持てる全てをぶつけたせいで何のネタも残っていませんでした。起死回生の一撃は、私のプロダクトの話をするのではなく、万人に刺さるコンテンツをどうにかひねり出すこと。こうして、「Noを伝える技術」が生まれました。(と言うとかっこいいけど、正直に白状すると若干「まぁ1位とれなくても登壇できればそれでいいや」という気持ちはありました。)

それから前年の資料の反省をしました。実はpmconf 2020の直後、Twitterを見ていたら、予想外のことが起こっていました。話がきれいに流れるように仕方なく挿入した1枚のスライドがあるのですが、このページへの言及がやたらと多かったのです。私にとってみれば刺し身のつまのようなこのスライドが。

ははーん、なるほどこういう感じに整理したスライドが刺さるのね。おーけーおーけー、完全理解。

ということで爆誕したのがpmconf 2021のこちらのスライド。もはやここを起点にプレゼンを組み立てたと言っても過言ではありません。

このスライドを作った瞬間までは、完全勝利だと思っていました。ところが、前後にスライドが足されて全体像が見えてくると、急に不安が押し寄せてきたのです。

え、なんか、言ってること超普通すぎない?新しい発見とかある?

そして会社のルールに基づき資料の事前チェックを通したときの広報フィードバックがまた辛辣で。

「内容問題ないんですが、なんか、新入社員研修みたいですね」

なんかバズったし満足度も1位になった

Twitterでは多少強気なことを言ったりもしていましたが、結局最後まで、これは受け入れられるのだろうかという不安に押し潰されそうになりながら登壇しました。だからこそ、その日シェアしたスライドがたった数時間で前年のスライドの1年間のPVを大幅に上回るのを見たときには本当に信じられない気持ちでした。

翌日以降、ものすごい勢いでTwitterのLikeとリツイートが増えていきました。次々と届く通知を見て、現実を受け止めるのに苦労しました。実は私の中では未だに2020の内容がベストなのです。2021の私が2020の私に勝てたのは、本当にただ刺しにいったところが当たったというだけなんじゃないかと思っています。そういう意味では戦略どおりと言っていいかもしれません。

そしてこちらの投稿からもわかるとおり、ただバズっただけではなく満足度も1位。

そして私はこう思いました。

登壇するという夢を叶えただけでなく、新たな目標だった満足度1位もとってしまった。もうpmconfでやり残したことはない。これで最後にしよう。

かわりに運営スタッフに応募してみようかなと本気で思ったりもしていましたが、あまりにも向いてなさすぎて運営の皆様にご迷惑をかける予感しかなかったので自粛しました。

前言撤回

pmconf 2022も公募がありましたが、私は早々に「応募しない」と宣言しました。前年のpmconf終了直後に引退を決意したからです。それに加えて、そもそも公募が始まった頃には退職が決まっていたので、私には応募する理由もなければ話す内容もなかったのです。

翻意したのは公募締め切りの1週間前。

いや、これ私が例えば受けを狙わず好き勝手なこと話すとするじゃん、そうだとしても満足度は上位半分には食い込める気がするんだけど、今まで散々pmconfにはお世話になったし、私が出せるものは出しておくべきじゃない?運営の人がそんなの不要だと判断したら公募で落ちるだけの話だし。

という思考回路で応募しました。初回に何時間もかけたのが嘘のようで、プロポーザルを書くのに要したのはたった30分。好き勝手話すとなると悩む要素がなかったのです。そこから送信ボタンを押すまでがいろいろ逡巡しちゃって5日ぐらい要したのですが、こうして3年連続の応募となりました。社名欄には自信満々に「未定」と書きました。

組織の話をしたのは自分が話したかったのと、タイミング的に今その話が旬だろうと感じたというのが大きいのですが、所属の会社に依存せずに話せる内容だったというのもまた重要な要素でした。

pmconf 2022が終了した今も、結局どう受け止められたのかが掴みきれずにいますが、まぁ最低限pmconfの品位を傷つけない程度のアウトプットは出せたかなと思います。

今度こそ引退宣言?

そろそろ私ばかりが出ても仕方ないかなと思うというのと、ひととおり今の時点で話したいことは話したので少なくとも新たなネタが出てくるまで待ちたいというのと、何より今のプロダクトマネージャー界に知ってほしいと私が個人的に思っているネタが既に社内にたくさん転がっているので、他の人に譲ろうと思っています。

いろいろある中で今の時点で特に私が推したいのが2件。
・未経験からPMになってすごく成功しているのってどんな人?
・R&Dっぽいもののプロダクトマネジメントとはどんなもの?

でも社内から腑抜けたプロポーザルしか出なかったら私が応募して出番もらっちゃうからね!

おまけ

過去の経緯で2019年だけすっぽり抜けていたことにお気づきでしょうか?実はpmconf 2019は不参加でした。かわりに同じ会社のメンバーを何人か送り込みました。

私が不参加だった理由は、pmconfと全く同じ日程で2日間にわたりマネージャー研修を受けるためにハンバーガー大学というところに缶詰になっていたからです。この悔しさを晴らすべく全てのパワーをぶつけに行った結果、研修のグループワークでは私がリーダーを務めたチームが最優秀チームとして表彰されました。普段こういう研修系ってダルくて、省エネで最低限のことだけやる私が。ありがとうpmconf、参加できない悔しさのおかげで高級なボールペンをもらったよ。

ありがとうございます。いただいたサポートは、脳の栄養補給のため甘いお菓子となり、次の創作に役立つ予定です。