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一座建立 いちざこんりゅう (茶道)

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タイトルの「一座建立(いちざこんりゅう)」は茶道で出会ったことばです。茶道に触れる中で、学んだこと、感じたことを記します。
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#千利休

我が仏、隣の宝、婿舅、天下の軍、人の善悪|茶席での会話のマナー

我が仏、隣の宝、婿舅(むこしゅうと)、天下の軍(いくさ)、人の善悪(よしあし) 七五調でなんとも語呂がいいのは、もともと連歌師がつくったものが下敷きになっているから。 連歌の席で避けたほうが良い話題として並べられたものを、利休の弟子である山上宗二が茶席で避けるべき話題として応用しました。 我が仏宗教のことを指しているようです。しかし、これまでも指摘してきたように禅と茶の関りは深いので、無理があるような。 千宗屋(武者小路千家家元後嗣)さんによると、 「自分の主義主張、思

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利休の説く茶人の心得 利休七則

先日、四規七則の「四規」和敬清寂 をご紹介しましたが、今日は七則。 利休七則とも呼ばれます。 前回の四規が利休さんのことばではなさそうとお伝えしたのに対し、こちらの七則は利休のことばとして伝わっています。まず、ひとつご紹介します。 茶は服(ふく)のよきように点て茶を点てる際には、抹茶の量や湯加減など、客が飲みやすいように考えて点てます。亭主は心をこめて茶を点て、客はその心に感謝して茶をいただくというお互いの心の交流が「服のよき」茶です。(出典「茶道文化検定公式テキスト4級」

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利休さんもお菓子を食べてたの?→Yes & No

お抹茶にはお菓子がつきもの。 お菓子目当てにお稽古へ。 あれ?利休さんの頃も、同じようにお菓子を食べていたのかしら? 昔は砂糖が非常に手に入りにくかったと聞いたことがあります。 お砂糖がたっぷり入っているお菓子なんて食べられたのかしら? その答えは、NOでYES。 NO!利休はお菓子を食べていないよ!利休さんはお菓子を食べていません。 いま私たちがイメージするような、トップの画像にあるような美しい和菓子は食べていません。 砂糖が日本に伝わったのは西暦750年くらいといわ

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うちのパンジーは盛りを過ぎ、ビオラサイズになりつつも懸命に咲いています。そうなると、引き抜くことができない私。 秀吉のもてなしのために、朝顔を一輪残して摘みとってしまった利休さんには…なれませんね~。

秀吉の茶の湯はたのしい茶の湯

先日、信長と茶の湯について書いたところ、多くの方に読んでいただきました。 というわけで、今回は豊臣秀吉と茶の湯について。 豊臣秀吉さんは何をした人だったでしょうか? もともとは信長家臣で、太政大臣に就任、兵農分離、太閤検地、刀狩、朝鮮出兵、朱印船貿易…。キーワードとしてこれくらい押さえておけば中学の歴史のテストはパスできるかしら? さて、秀吉と茶の湯というと「黄金の茶室」がよく知られています。 いろんなところで、再現されているので目にしたことのある方もいるかもしれません

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茶の湯は、料亭でゴルフでカメラで?

夫から出された疑問。 「お茶一杯にこんなに時間かけるなんて、茶道は今でいう何にあたるんだろうか?」 せっかくのお題なので、考えてみました。 時代によって、茶の湯のあり方は異なりますが、茶の湯の本質は変わらないと思うので、時代はあまり意識せずに考えます。 1:茶の湯は料亭茶道の持つ社交面に注目すると、料亭が近いような気がします。 料亭では、密室のような個室でともに飲食をし、親密な関係性を築き、ときに密談を交わすことも。 茶道においても、小間とよばれる四畳半以下の室内で、亭

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和の意匠06 取扱注意!《つぼつぼ》 | お茶を通じて学べること 番外編

日本人は「もふもふ」とか「ふかふか」とか「ほわほわ」とか、繰り返しの擬態語が好きですよね。 「ぺこぺこ」 「ふわふわ」 「るんるん」 「しとしと」 などなどいくらでもでも。 ご先祖さまも同じようです。 つぼつぼ最初にみたときは、目が文字を正確に捉えられずに、「ぶつぶつ」と読んでしまい、仏像の螺髪のようなものかしらと想像しました。 つぼつぼ、こんな図柄です。 なんの意匠でしょう? 小さな食器だとか、おもちゃだとかいわれています。 さて、このつぼつぼですが、配置が流派に

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おいしい一服のために|湯相、火相を整える

(投銭制noteです) 学生時代の茶道部の活動では、あまり気にしていなかったこと、 湯相(ゆあい)、火相(ひあい)。 おいしい一服のために必要なことです。 湯相(ゆあい) 湯の温度、湯加減 火相(ひあい) 湯を煮る火加減 学生時代のお稽古では、電気で湯を沸かしていたことや、炭点前(お茶を点てる前の炭をつぐお点前)を省略したお稽古をしていたため、炭の加減である湯相、火相を気にすることはありませんでした。 煎茶や紅茶を入れるときは、お湯の温度をけっこう気にするのに。 適

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茶道マガジン「一座建立」を書く理由は、茶道を広めたいからではなく

おかげさまでnoteの投稿数がいつの間にか100を越えていました! この茶道マガジン「一座建立」(いちざこんりゅう)のnoteも65となりました。みなさんからのスキが動力です。ありがとうございます! 今日は、茶道マガジン「一座建立」を書く理由、目的をお伝えします。 noteを書くなかで明確になってきました。 茶道人口を増やしたいという意図はありません。 入門的な note もありますし、結果的に増えることは嬉しいですけどね。 また、すでに茶道をたしなんでいる方に向けたメ

《禁じられた花》茶席の花の話

お茶室の床の間には、花が飾られます。 掛け軸がなんのことだかさっぱりわからない、 それどころかそもそも読めないのに対し ただそこにある美しさを感じればよい花にほっとさせられます。 (花もまた、「名前がわからない問題」を孕んでいますが) そんなお茶室の心のオアシス、茶花(ちゃばな)ですが、 どんな花でもいいというわけではありません。 茶花にはふさわしくないとされた禁花(きんか)があります。 「南方録」には千利休の教えとして禁花を示す歌が残されています。 花入に入れない花

茶道豆知識 |女点前、男点前

お点前って、実は男女で違うんですよ。 現代では、茶道は主に女性のもの、というイメージがありますが 歴史の授業で習った茶道関連の人物は男性だらけでしたよね。 村田珠光、武野紹鷗、千利休、豊臣秀吉… というわけで、もともとは男性のお点前が先にあり、のちに女性の体格や動作に合わせて女性のお点前が行われるようになりました。 (流派にもよるかも。でも基本的には男性点前を女性点前に改良しているはず) 具体的には、熱くなった釜のふたを取るのに、男性は素手で、女性は服紗(ふくさ)という