Design of Tea Ceremony |《飲み口》から 茶道の合理性

「デザインされている」とは、美しさや、心地よさ、また使いやすさ、利便性、機能性、合理性などを意図し設計されていること。
今回は茶道の合理的な一面をご紹介。

まずは前提知識をふたつ。

ひとつ目は、お茶碗には正面があり、客は正面を避けて、お茶をいただくということ。
(ご興味のある方はコチラ(どうして、お茶碗をくるくる回すの?)をどうぞ)

ふたつ目は、お客様が複数いる場合も、同じお茶碗を利用するため、お点前の最中に、茶碗をすすぎ清めるということ。
(人数が多い時などは、時間短縮のため別のお茶碗を使ったりもします)

この客が正面を避けて飲むというのと、亭主が茶碗をすすぐという、この流れが、うまく設計(デザイン)されています

わかりにくいので、図解しますね~。

上から見た図です。

まずは、客。
左図1)お茶碗は、正面が自分の方を向いた状態で出されます。

右図2)正面に口を付けることを避けるために、お茶碗を90度回して、飲みます。お抹茶は、どろっとしているので、飲み終わると、図の緑斜線ようにお抹茶が残ってしまいます。


続いて、亭主。
左図3)客が飲んだ茶碗が手元に戻ってきます。正面は自分の方を向いています。時計でいうところの3時が飲み口となって抹茶で汚れています。
次の客のためにお茶碗に湯を入れてすすぎます。
(ここで一つ所作がありますが、説明割愛)
その湯を捨てます。

右図4)湯を捨てるときは、茶碗を左手で持ち、飲み口から湯を捨てます。そうすると、あ~ら、不思議!
どろっと茶碗にこびりついていた、お抹茶がきれいに流されているではありませんか!!

…まぁ、実際には、完璧にきれいになるわけではなく、湯を捨てた後に、さらに茶巾という布で、拭き清めることで、残りの抹茶もきれいに拭き取られます。

いかがでしたか~?
客と亭主の連係プレー!
これぞ、一座建立!(違うな…一座建立の意味はコチラ
うまいこと、考えられてるなと思いませんか?

さて、仮に、客の飲み口が、時計の3時ではなかったとき、亭主はどうするのでしょうか?
私なら、客の飲み口から湯を捨てるために、茶碗をもつ位置などを微妙にずらすと思います。
そうしないと、その後に使う茶巾が汚れてしまって、さらに次の客に点てるときに、茶巾で拭くと余計に抹茶で汚れてしまう事態になってしまうから。

この辺りは臨機応変に対応するものだと理解しています。
なので、飲み口が時計の3時だったか、9時だったか、はたまた12時だったかと分からなくなってしまっても、きっと大丈夫。正面さえ避けておけばOKです。
お気軽にどうぞ!

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