穴の底に落ちて
暗い場所でうずくまっていた時

それまで、首を横に振りこの手綱は嫌だと
決して握りたくなかった一つの綱を手に取り
強く握る

手綱を握る為の覚悟は心の底で拾って来た

ー手綱を握り這い上がるには荷物を軽くしなければいけないよ
減らすべき物を探しなさい
その中に未来行きの鍵があるから
と厳しく人生に言われたので

ー知ってたけどさ…

とぶつりと一言、文句をつけてから
鍵を見つける日々にシフトする為の気合い混じりのため息をふーっと吐く

暗い穴の中で未来行きの鍵を見つける日々は
何度、経験しても嫌な時間
ちっとも落ち着かない場所で
身体にも心にも、静寂と言う栄養を与え続けサインが来るのをただただ待つ毎日

未来行きの鍵は、決まって心の深海のマグマの中にあり
固く黒いひび割れた地面から
遥か昔から流れる赤い色のマグマが見えている

水などもろともせずに消える事の無いマグマ
痛みは守られ続け、隠され続けてきた

鍵のある場所まで
一気に潜るためにサインはやってくる

鍵探しは、ロマンチックな物じゃなくてね
現実的な視点で見たら
ただ眉間に皺を寄せた顔色の悪い人に圧倒的な不幸が訪れるようなストーリーで
きっと、誰もが近付き難いほど自分は変な色をしているのかもしれないと良く考える

羽化する直前の幼虫みたいなね

私は決まってこんな時は
亡くなった祖父母が現れ

ひどい眩暈と、耳が塞がるような感覚が　
警告の様に
はたまた、応援の様に訪れる

だからかな？深海に潜るためのサインのショックも大丈夫だと思えるのは

それとも、何度も通って来た道でちゃんと見つけたからかな？

遥か昔に出来上がった深海のマグマをやっと撫でて鎮めて行く時には少しずつ新しい道が見えて来るからね　

鍵を手にしているからね

さあ、手綱を握れ

後は人生が治してくれる
次々に現れる浮島に飛び乗り
次を待つ

濁流を越えて行くように

答えはちゃんと見つかる物だから

akaiki×shiroimi