黒のフェドーラとウェイファーラー、1980年の『R&B』
唐突に登場人物がスクリーンの中の日常で歌い出す
あのミュージカルは敬遠ぎみの体質ながら
全般、映画は大好きです。
とりわけ、20代頃はハリウッド映画にはまっていました。
映画の中のアメリカに、
いやアメリカ人の、しぐさやファッションに
憧れていたんでしょう。
そんなアメリカ映画の音楽モノで
唯一、『THE Blues Brothers』だけは別格の存在です。
ストーリーは単純、展開はむちゃくちゃ
意味なく街中が歌い、そして踊りだす
ドキドキのカーチェイスなのに
本人たちは泰然自若。
けれど、そこがCOOL!
木枯らし吹く、夕暮れのダウンタウン
雑然とした路地裏に、半切りドラム缶の焚火がゆれる。
何処からともなく集まるブラザーたち。
誰かが、スティックで壁を叩くと
すかさず、ペットボトルのパーカッション。
傍らに座る老人が胸ポケットをまさぐって
取り出したブルースハープを両手で包むと、
彼の呼吸が、リズムを刻む。
ブルースが街の喧噪に溶け込んだ。
そう、この映画の舞台「CHICAGO」は、
リズム&ブルースの街。
主人公の兄弟は、
唯一無二の二人組。
正真正銘、これぞアメリカ、プロのコメディアン。
似たようなヤツらはいても、決して本家は越えられない。
この映画の撮影当時(封切は1980年)
ジョン・ベルーシが29歳、ダン・エイクロイドは26歳。
脇をかためるミュージシャンはいずれもツワモノばかり、
なのに、なんという貫禄、圧倒的な存在感。
作品のベースはコメディーミュージカル。
ハチャメチャなカーチェイス、
自分勝手で、常識しらずのトラブルメーカーの人だけれど
ジョンのボーカル「Sweet Home Chicago」の
演奏が始まれば、みんな心までもってかれちゃう。
ブルースっていいなぁ
音楽っていいなぁ
何か、楽器でも始めようかなぁ。
たしか、息子の部屋に黄色いケースのハモニカが・・・。
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