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*草刈り機やーめた!自然農の草刈り

畑の草を、草刈り機や手鎌で刈った後、
下手くそな美容師に髪の毛を切られた時のような
不格好さと、不自然さや乱れなどを感じたことはないだろうか。

そんな時、畑に何とも言えない申し訳なさと、
残念さが残る。
なぜ、わたしが畑に手を加えると
こんなに不自然さが残るのか?美しさがなくなるのか?
と不思議に思っていた。

草を刈って1週間ほど放置すると、
なんとかまた自然な雰囲気が戻ってくるのだが、
草を刈ってキレイにしているはずの行動が、
畑を乱れさせ、不自然な場所に成り下がるのか・・。

もう10年ほど前になるが、
スローな田舎暮らしをするはずだったにも関わらず、
正社員で働く流れになり、
さらに数人の仲間たちと田圃をするため面積を広げ、
毎週末に集まる予定にしたこともあり、
畑に行く時間が大幅に削られることになった。

夏場、畑の草が勢力を増し、野菜の姿は草に覆われて隠れ、
足元は見えず、草を刈らないと入れない。
畑に行くと、まずは草刈りから始まるというルーティーンとなった。

時間がないこともあり、草刈りはもっぱら草刈り機を使い、
すぐに草が伸びてこないように、と
地面を削るほどの勢いで刈り、
ヘトヘトになったところで畑仕事が始まる、という
過酷な作業を汗水たらして真面目にやっていた。

ところが1週間ほどしてからまた畑に行くと、
あらまぁ大変、また元の草ボーボーの姿に戻っている。

そんなことを毎週毎週繰り返し、
見も心もボロボロ、ヘロヘロになっていた。


3年ほど経った頃、畑に生える草の姿が大きくなっていることに気が付いた。
イネ科の草やギシギシ、スイバ、セイタカアワダチソウ、アキノノゲシ・・・
それに加えて、地を這い、根で広がる宿根草たちも増えていた。
背の低い、私の愛する可愛らしい草花たちが、
姿を消しているではないか!!
なんで、なんで、どーゆうことなの!?
焦った・・落ち着けワタシ・・・

ちょっと前に読んだ現代農業の記事を思い出した。
「草刈り機での草刈りは、高刈りがいい・・」
と書いてあった。
地際で草を刈ると、背の低い草は成長点を切られるため、
復活することができずに消えていき、
背の高いイネ科の草たちは、成長点が地面に埋まっていることもあって、
またすぐに生えてくることができる。

宿根草は、根が残っていれば生えてくることができるから、
宿根草やイネ科の草ばかりになる。
高刈りすることで、背の低い広葉雑草たちは
脇芽を出して広がり大きくなるため、
イネ科の草は減っていく、と書いてあった。

つまり、わたしの草刈り機での地際すれすれの刈り方は、
背の低い草を消滅させ、イネ科の草が増え、
宿根草が生き残る、という現象を生んだのだ。

「草刈り機で草を刈っていると、草刈り機でないと刈れない草ばかりになる」
という悪循環に気づいたわたしは、そこから草刈り機を使うのを辞めた。
畑を耕す農法ならまだしも、
ウチの畑のような耕さない畑に機械は合っていなかったのだろう。
気づくのが遅くなってしまったが、
幸いわたしの好きな草花はまだ少し残っている。
自然農の川口さんはよく、「分別しない」ということをおっしゃるが、
そんなことを言っている場合ではない。
背の高い草には根負けするし、
野菜たちも成長しずらく、消えてしまうこともある。
根を張る宿根草も強く、わたしも野菜もいとも簡単に負けてしまうのだから!

可愛い花を咲かせるハルジオン。
背がとても伸びるので、わざと地上部10CMほどに切って
小さく仕立てている。

5月を過ぎて、夏草が生えだしたら、
イネ科の草や宿根草は手鎌で選んでは根を切り、
背の低い草は残す。
夏至を過ぎて、夏草の勢いも少し衰え
暑さでわたしもバテ始めたら、草刈り機で高刈りする。

手鎌で刈るなんて、手間のかかる・・と思われるかもしれないが、
草刈り機で刈ると翌週には元通りであるが、
鎌で根を切った草は、もう生えて来ないのだ。
宿根草も根を切れば、しばらく生えて来ないから、
実はそんなに手間ではない。

それに、畑にしゃがんで、その場その場の様子を見ながら
刈っていると、わたしも畑の一部になったような気分になって来る。
草の木陰で汗をかくのも気持ちがいいものだ。

鎌を土に差し込んで
根を切ったイネ科の草。

畑のバランスを考えると、イネ科の草や宿根草が居なくなればいいわけではない。
背の高い草は、根を地中に長く、広く伸ばして畑を耕し、
水分や養分を吸い上げ、朝露を集め、
日陰を作り、やがて枯れて土の養分となる。
夏の雨が降らない日照りの時には、この子らが野菜を助ける。

宿根草も、上手く生えさせれば土手の土を固め、
他の草を抑えてくれる。
どちらも排除してしてしまうわけにはいかない。
少し勢いを抑えておきたいだけだ。

それに、土がある限り、必ず草は生えてくる。
どうせ生えるなら、小さいほうがいい。

小さな草は意外に大きな草を抑えている。
小さな草を邪魔だから、と排除してしまうと
大きくなる草が生え始め、それをまた排除すると
さらに大きく強い草が生えてくる。
そうなるともはや、草刈り機でないと刈れない、ということになってくる。

放置された田圃の土手なんかがそうだ。
大きくなったセイタカアワダチソウやヨモギなんかは木のごとくで
草刈り機を使ってもとても大変な作業になるが、
畑に生えてくるセイタカアワダチソウなんかは
たくさん生えて来ないし、大きくならず、
簡単に抜けるし花も可愛いものだ。
なんでも排除してしまうと怖いんだな。

10年以上前に訪れた
川口さんの畑。

手で草を刈っているかぎり、草を全滅させてしまう心配はない。
草刈り機を使うと、無差別に刈っていくが、
手鎌で刈ることで選び、調整することができる。
野菜たちともうまく共存できるようになってきたし、
草を刈った後の畑の姿が美しく、
ちょっといい美容師に髪を切ってもらった気分だ。
達成感もあって気持ちがいい!

背の高い草も、低い草も、
両方バランスよく居てもらいたいものだが、
単なる放置では強い草ばかりになるし、
わたしの勝手な都合でやっていると
畑に不自然さをもたらすし、
結局時間も手間もかかるという羽目になるようだ。

あんたらたいへんやな~




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