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静岡県熱海市で発生した土石流災害で、ペットの同行避難を国に訴えた、「プリモス動物病院」。

こんにちは、翼祈(たすき)です。

地震や台風など、様々な災害が毎年発生する、災害大国・日本。

災害が発生した時、ペットを飼われているご家庭では、ペットとどう避難するか、それがいつも頭にあると思います。

私の住む九州は、特に台風の進路という場合が多く、愛犬を飼っていた時に、いつも「災害発生時、愛犬をどうするか?」が、家族での話し合いで、共通の話題でした。

そんな中、ペットとの同行避難を国に訴えた動物病院が、神奈川県にあります。

2021年7月に静岡県熱海市伊豆山で大規模な土石流災害の発生した直後、被災者は熱海市内にある宿泊施設に寝泊まりしましたが、ペットを同行の避難は許可されませんでした。同行避難をする代わりに大半のペットの引受先となったのが神奈川県湯河原町にある「プリモス動物病院」です。

「プリモス動物病院」の院長で獣医師の伊藤裕美子さんは国が推し進める「同行避難」が上手く機能しなかったことを顧み、自治体に動物の命を守るための啓発や意識向上に熱を注いでいます。

今回はペット同行避難を熱海市の土砂災害を受けて国に訴えた、「プリモス動物病院」のことを発信します。

災害発生時にペットの同行避難を国に訴えた「プリモス動物病院」

宮城県石巻市で生まれ育った伊藤さんは、神奈川県湯河原町に開院して20年近く経ちました。2011年に発生した東日本大震災で故郷は壊滅的な被害に遭いました。震災が発生して2日後、支援物資を車に積んで宮城県石巻市にに向かいおよそ半年間、無償でペットの診察や飼い主の心身のケアなどを担いました。

静岡県熱海市の伊豆山で発生した大規模な土石流災害の時も被災者に支援の手を差し伸べ、無償でペットを引き取ったこともありました。「飼い主の様々な不安を解消してあげたい気持ちでした。自分にとっては当たり前の行動でした」と回顧しました。

その反面、避難所に同行避難できずに、行き場を失ってしまったペットが伊藤さん頼みになっていたことも事実でした。「プリモス動物病院」の業務上の同行避難の届け出は入院が20匹まででしたが、静岡県熱海市の大規模な土石流災害が発生した直後の入院受け入れは最大で51匹でした。診療して、泥を洗い流したりなどの心身のケアも欠かさず「様々なところにケージを置いてペットを受け入れました」と思い起こします。

東日本大震災ではペットが避難所に同行避難できず、共に車中泊をする被災者が続出したり、避難所に同行避難できなかったことで野生化したりといった、動物の避難も課題に挙がりました。

環境省はそれから、避難所で飼い主の被災者とペットが一緒に避難するための参考にして欲しいと、ペットの同行避難の公式ガイドラインを作成しました。ペットは避難所ではケージに入れて、一般的に被災者とは異なるエリアで過ごす様に要求しています。自治体に取り入れる様に促進していますが、静岡県の土石流災害では熱海市内のホテルが避難所になったことを受けて、ペットを同行避難でホテルに持ち込まれることは許可されませんでした。

熱海市協働環境課の担当者は「公式ガイドラインの熟知不足をしていた可能性があります」と話します。熱海市は2022年3月、指定の避難所でペットの同行避難のためのスペースが確保可能な様に、管理者と交渉した以外にも、2023年の熱海市の避難訓練で初めてペットの同行避難を行いました。「今後は継続的なペットの同行避難の啓発活動をしていかないといけないと思います」と説明しました。

参考:ペットの同行避難 周知徹底を 熱海土石流災害 湯河原の動物病院が無償で引き受け 東京新聞(2023年)

こうした取り組みに伊藤さんは「『ようやく国を動かせた』という想いもあります」と述べます。

静岡県熱海市で発生した大規模土石流災害では、伊藤さんが診察していたペットやその飼い主が亡くなりました。「動物の保護に関しては二の足を踏んでいる自治体がありました。『3・11』の教訓を活かせる様にきちんと熟知し続けて頂きたいです」と願います。

うちの愛犬

亡くなった愛犬は、ムチッとしていました。よく食べ、よく眠る子で、一番懐いていた父以外に抱えられるのを嫌がり、父が仕事でいない日に台風などが接近したら、どう避難すべきかを、母とよく話していました。

愛犬は臆病でもあり、豪雨で雷が鳴ると、よくガタガタ震えていました。

愛犬を抱っこして避難などをすることは幸いなことにありませんでしたが、中型犬の愛犬は、ゲージや避難バッグにも入れず、それも気がかりでした。

亡くなる2ヵ月前から怪我しかしなかった愛犬が、立て続けに大病をしました。ご飯も食べなくなり、5kg以上痩せて、一番最大にしていた首輪も、亡くなる前は一番手前になる位、痩せていきました。

愛犬は、ヒトでいうところのがんでした。

愛犬が亡くなって2年以上が経ち、今は何も飼っていませんが、ペットを飼っていると、やはり避難の問題がありますよね。

熱海市の大規模な土砂災害も、本当に悲しい災害でした。あの時に教訓が悲しさだけじゃなく、国の指針に動かしたペットの同行避難に繋がったことは、良かったことだと思いました。


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