息をするように本を読む 4 〜時代、歴史小説〜
子どもの頃、父の隣で毎週NHKの大河ドラマを見ていた。歴史に興味を持ち、歴史小説を読み始めた。そして、そこから時代小説もよく読むようになった。
主人公は男性でもいいし、女性でもいい。実在の人物でもそうでなくてもいい。時代も古代から近代までなんでもござれだ。
時代小説(あるいは歴史小説)の魅力のひとつは語り口だ。時代物のそれは独特なリズムがある。
あるときは格調高く、あるときは硬派に、あるときは洒脱に、作家たちはそれぞれの語りで時代を表現する。
井上靖の作品は大好きで繰り返し読んだ。意外と女性を主人公にした物が多い。静かな文章で淡々と彼女たちの悲しみや激情を書く。
「額田大王」「淀殿日記」「楊貴妃伝」
西域が舞台の「敦煌」「楼蘭」も外せない。
山本周五郎は長編もいいし、短編もいい。
サスペンスもいいし、人情話もいい。町人物も武家物もいい。
「五瓣の椿」「さぶ」「四日のあやめ」「正雪記」
その語りには人間への愛情や優しさがある。
司馬遼太郎は定番中の定番だろう。
「竜馬がゆく」
ラストが淡々と事務的なまでにあっさりと書かれていたのもよかった。
「燃えよ剣」
悪ガキがそのまま大人になったみたいな土方歳三が格好良かった。
他にもいろいろ。語り尽くせない。
最近はまた時代小説ブームなのか、書店には特設コーナーが出来ている。高田郁さんや浅井まかてさんなど、女性作家さんもたくさんおられるようでわくわくする。
まあ、その話はいずれまた。
時代小説は、ベタな言い方だけど、読むだけで時間と場所を飛び越えられる。いくつもの時代が生きられる。
本を読むことは私には特別のことではない。生活の一部であり、呼吸することと同じことだ。
時間を超えた物語に深く感謝する。
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