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男の子はバカで女の子は早熟?!

 ジェネレーションギャップがどんどんと広がる時代の中で、子育ての現場が社会的にも注目されているように思います。

そんな中で永遠のテーマは、男の子と女の子って、どこが違って、どこが同じなの? それぞれ、どう向き合ったらいいの? という視点かもしれません。

つい先日、次のような記事が飛び込んできました。

「男の子はバカで、女の子は成熟・・・」。

なるほど。つい10年ほど前であれば、こんな発想はほとんど問題にもならなかったし、むしろ「男女差なんて、そんなもの」というのが社会通念だったような気がします。


この場合の「バカ」というのは、ある種の愛着とか愛情が込められた表現だと思われ、もしかしたら関東圏と関西圏、その他で、日本語としての語感には幅があるのかもしれません。

ともあれ、「バカ」が一面的な称賛の言葉でないのは明確で、「女の子は早熟」という幼児期の実態との対比において、男の子のある種の「育てにくさ」を表現しているのだと思います。



結論からいうと、このような男女差のイメージは、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)だといえます。

幼児期にかぎらず、人間にはジェンダーごとの特徴や傾向がありますが、それは生まれもっての要素と日常生活から得られる要素が複雑にからみあっています。

子育ての現場をみている人ならわかることですが、自分の子どもであれ、他人の子どもであれ、子どもの行動や言葉には、「男の子なのに・・・」「女の子なのに・・・」という部分が必ずあります。

親は、無意識のうちに「男の子は男らしく」「女の子は女らしく」と思って向き合い、育てようとします。これが場合によっては偏見を植えつけるという見直しがされたのはつい最近のことで、今でも基本的なジェンダー規範はそれほど変わっていないといえます。



男の子は、ユーモアたっぷりに「バカ」をやっても、親目線からすると「そのくらいでいい」と思います。場合によっては、「面白いね」と褒めることすらあります。

女の子は、やっぱり理屈ぬきに「おしとやか」に振る舞うことが求められ、「おとなしく」していると男の子以上に「かわいい」と褒められます。あまりやんちゃな子は、今でも親から心配されます。

男の子がいたずらをしたり、ユーモア半分に暴言をはいたり、親の言うことをきかずに駄々をこねたりするのは、もちろん行き過ぎたら困りものですが、ほどほどであれば子どもらしい無邪気さとして健全だといえます。

これは、なにも男の子にかぎらず、女の子だって同じです。現に、男の子も女の子も分け隔てなく育てている両親のもとで、まるで男の子のように「バカ」な女の子もいます。

逆に、女の子のようにおませで早熟で、おとなしくコツコツとひとりで遊んだり勉強したりする男の子だって、意外とたくさんいます。兄弟に女の子がいて影響されることもあるし、もちろん親の教育方針にもよるでしょう。



100歩譲って、男の子と女の子が異なるジェンダーゆえに異なる特徴をもっており、それが子育てや教育の現場に影響するものだとしても、まったくすべてがそれに依存するものではなく、環境や動機づけや向き合い方や人間関係や教育方針などによって、ある一定の要素は可変的であるというのが実際だと思います。

あなたも子どもの頃をふりかえって、必ずしも親のいうとおりに行動せずにときに反発したり、学校の先生の言葉に疑問をもって素直に従わなかったような経験があるでしょうし、少なくもまわりにそんな子はたくさんいたことでしょう。



最後に、また100歩譲って、男の子にありがちな「バカ」をやることの効果は、昔と今とで違いはないのでしょうか。

「バカ」とは、あえて協調せずにまわりを困らせたり、本来期待されているやり方に染まらないことで自分を貫いたり、あえて目立った姿を見せたりアウトローな行動をとることで際立った個性を演出することなどが挙げられると思います。

私の肌感覚では、こんな男の子の「バカ」の効能?は、時代とともに変貌を遂げており、おそらく今の時代にはあまりそぐわない姿になりつつあるようにも感じます。



昭和や平成のある時代までならともかく、今の若者の生態をみるに、「まわりに合わせる」「自分だけが目立たない」「リスクをかけることはしない」「安定した人生を送りたい」「がつがつ働きたくない」「社会に貢献したい」といったフレーズが当てはまります。

もしかしたら、子育てや幼児教育、学校教育のあり方が変わることで、男の子=「バカ」、女の子=早熟という構図(イメージ)も移り変わっていくのかもしれませんね。

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