バイブルがいくつかあって#1

誰しも、人生を歩むうちにぴたっとくる1冊に出会うと思う。出会うまで、それはどんな作者か、フィクションかノンフィクションか、エッセイか、漫画か絵本かもわからない。その本に出会って読み終えてみて、あなたは妙に納得したり、人生観が変わったり、この人生の歩み方で間違ってなかったと自分自身を肯定したりすることが出来るだろう。

私にもバイブルと言える本がいくつかある。そのなかの1つが、「ごはんのことばかり100話とちょっと(著:よしもとばなな/朝日新聞出版/2009年発行)」である。ごはんにまつわる様々な話を102話と、関連するレシピがまとめられたエッセイ本である。著者自身の心情が日常の中でうつろぐものの、その日常のまんなかに食卓がある。あの時どんな食事をしたっけ、と時折自分の人生を振り返りながら読むことが出来る、そんな本だ。私は祖母の食育が厳しいというか真剣だったので、人生何があっても食事をして生活を続ける著者の生き方に深く共感した。

私の人生の中で起きた様々な出来事を思い出すと、時には食卓を囲むことが難しい時もあった。ごはんを食べられないメンタルの時もあるけど、何よりごはんを作ることってとてもエネルギーを使う。食材を選んで、食べ合わせや味付けを考えたりして、料理をして、さらに配膳をする。最近はごはんを外で買って、温めて食べることもできるけれど、家の味ってあると私は思っている。自分の安心する味付けというか、もちろんお店のこの味が安心するという人もいると思うけれど。人生のまんなかには食卓があって、そこに集ってご飯を食べる。そういう人生をこれからも歩みたいのだ。

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