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死とはなにか?(私の考え)【後半】

今回も、前回に引き続き「人の死」について私が考えていることを述べさせて頂きたいと思います。

なお、もしかすると今回の内容に宗教的な印象を受ける方もいらっしゃるかも知れません。
ただ、私は一切の信仰やそれに類する思想につきましては否定も肯定もしない立場であり、今回の内容はいわゆる宗教とは関連のない考えです。

また、専門外の分野について理解不足の部分があるかも知れませんが、どうぞご容赦ください。

なぜ多様化する必要があるのか


前半では、
・生命の役割は次世代に遺伝子を残し続けること
・多様性のために生物はわざわざ老化や寿命を作り出した

というところまで述べさせていただきました。

次に生まれた疑問は、
「遺伝子を残すだけであれば、その時々に適した少数の生物だけでも良いのではないか?なぜここまで生存競争を行い、進化・多様化する必要があるのだろうか?」
でした。

これに関して色々と考えた末、今の私は、宇宙の法則が関係しているのではないかと考えています。

エントロピーの増大


熱力学第二法則であるエントロピー増大という法則があります。
エントロピー増大というのは、たとえば、室内でろうそくに火をつけると煙が出ます。
この煙は部屋中にどんどん広がっていきます。しかし、一度広がった煙を元の場所に集めることは不可能です。

このように、ものごとは無秩序な方向に向かっていき、不可逆であることを示した法則です。
「覆水盆に返らず」といったところかも知れません。

宇宙も、もともと何も存在しない空間にゆらぎが生じ、ビッグバンが生じたことで始まり、現在も広がっていると言われています。

これは見方を変えれば、宇宙は常に無秩序に広がっていく方向に変化を求めているとも言えるのではないでしょうか。

これは、ブッダが唱えた「諸行無常」にも通ずるような気がします。
(ただし、宇宙物理学においては熱力学法則が当てはまらないという考え方もあるようです。)

人の役割とは


私は、生物もこのエントロピー増大に従って多様性を生み出しているのではないかと考えています。

私たち一人一人の存在も、宇宙にわずかですが変化をもたらしています。
じっとして全く動かない人はいません。
人が一人存在するだけで、どんどんと動きが生まれます。
これがエントロピーの増大につながります。
これは、いわば「宇宙の意思である」と思うのです。

ここまでをまとめますと、
・宇宙はエントロピー増大の方向に向かう。
・生物もそれに従い進化し、多様性を生み出す。
・古いものを壊し、多様性を効率的に創り出すために、老化や寿命ができた。

ということが考えられます。

つまり、全ての生物には、エントロピーを増大させるという役割があり、そして、その役割を終えた時が寿命なのだと思います。

生まれてすぐに死んでしまっても、事故や災害で突然亡くなってしまったとしても、それは同じなのでしょう。

それはまるで恒星がその長い役割を終え、超新星爆発を起こすかのようです。
なので、私は看取りの時に必ず「お疲れ様でした」と声を掛けさせていただくようにしています。

死は別れではない


もう一つ、熱力学の法則に「エネルギー保存の法則」があります。
これは簡単に言いますと、「エネルギーの形は変わっても、その合計量は変わらない」というものです。
たとえば、自動車はガソリンを燃やして動きますが、これはガソリンの持っていた化学エネルギーが、運動エネルギーと熱エネルギーに変化しているのです。

生命も何らかのエネルギーを持つと仮定すると(なぜなら臓器をただ組み合わせても生命にはなりません)、生命が役割を終えた時、そのエネルギーはエネルギー保存の法則に従い宇宙に帰っていくと考えられます(ただし、宇宙でエネルギー保存の法則が成り立つかも議論があるようです)。

カサカサになった皮膚が剥がれ落ちるように、私たちの体の細胞は日々死んでいますが、私たち自身は生き続けます。
同様に、私たち自身には寿命がありますが、大本となる宇宙の存在は続いています。

だから私自身は、死とは永遠の別れではないと考えています。

正直本当にそうなのか?と言われれば分かりません。
ただ、そう信じていたほうが少しばかり救いがあるような気がしています。

それでも親しい人との死別は悲しく思います。
そのようなゆらぎも人間の性質なのかも知れません。

ここで述べた内容は、「葉っぱのフレディ-いのちの旅-」(童話屋)に影響を受けました。
私も看取りの際にご紹介している本です。
ご興味のある方は一度読んでみてください。

今回の内容は以上です。
ここまでお付き合いいただき心より御礼申し上げます。

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