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夜を乗り越える/又吉直樹

文豪の作品を少しずつ読むようになったのはここ数年のこと。
だから今が良きタイミングだった。

物語の中で何かと何かがぶつかり合うのを読んだ時、そこにそれぞれの人生が結びつきます。それは本当に素晴らしい瞬間です。それぞれ反応する場所も違うだろうし、反応の仕方も様々だと思います。ひとりの人間でも、読む年齢によって異なる反応があります。

第3章 なぜ本を読むのかー本の魅力
なぜ純文学が必要か

純文学は感想文を書かせたら刺さるところがみんなバラバラになる、とどこかで聞いて震えた。
同じ人でも年齢で異なる。
だから一冊の本を生涯大事に持つことができるのか。
作品を風呂敷だとして、広げた風呂敷の模様が美しかった、そんな感想でもいいのだ。
私にとって宮沢賢治の作品は「はぁぁぁ美しい……」と抱きしめるものだが、何年か経ったら違う感情を抱くのかもしれない。
今からすごく楽しみだ。

本を読んで共感するということは、間違いなく読書の中で重要でおもしろい部分です。でもそれが本のおもしろさの半分、残りの半分は新しい感覚の発見だと思います。

第3章 なぜ本を読むのかー本の魅力
感覚の確認と発見

本を紹介する動画やコラムが大好物だ。
自分のモノにしてる読み方に憧れるし、もっと知りたい。
とある絵本作家さんが本棚から取り出した夏目漱石『それから』。
「百合の描写にたまらなくなって描いちゃったんです…本に落書きなんて罪悪感があるけど、でも手元にずっと置きたいから挿絵を描いてもいいかなって、責任をもって一生持ち続けます」
ページの余白に可憐な百合の花。
そんなの、間違いなく自分だけの一冊。

夢十夜の百合はなんとも色っぽい。


例えば、登場人物の気持ちとして「悲しい」と書くかどうか。「悲しい」と書かずに、風景や別の心理描写で悲しいという気持ちを表現する。そうやって「悲しい」という言葉を避け、他の描写を重ねた上で出てきた「悲しい」という言葉はまた別の意味になってきます。

第3章 なぜ本を読むのかー本の魅力
本に無駄な文章はない

僕は小説の中の風景描写が好きです。風景描写は登場人物の心理と絡んでいます。映画でもシーンごとに曲調の違う曲がつけられます。小説でも人物の心理と風景が一体となっている瞬間があります。その時の文章の強さが僕は好きです。

第5章 なぜ近代文学を読むのか
ー答えは自分の中にしかない

国語の先生だったらよかったなぁ。

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