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歌でのフィンランド語の勉強

2011年に買ったCDを聞きながら、ふと思い出したことがあります。当時はまだフィンランド語を学んでおらず、いったいどういう言語なのか?と思っていたらばったり出会ったCD。歌詞カードはあるし、聞き取りやすい言語だけれど、さっぱりわからない。ライナーノーツに書かれた作曲者作詞者の区別すらつかない。

そんなところから旅が始まったわけです。

大学に入る前に、ここがわからない、と先輩にあたる人に尋ねたことがありますが、「これは大学院まで行かないと・・・!」と言われたことが印象的でした。
その歌詞は、話し言葉が豊富なものです。ite という言葉も何度も出てくるので、当時のグーグル翻訳ではITEとかなんとか、パソコン用語となって出てきました。後にわかった正解は、Itse「自分で」です。こんな風にまさしく、目も当てられない手探りからの始まりでした。

ことばの勉強にあたり、子供用の本を読むとか、歌詞を通して学ぶ、と言う方法があると思います。英語の歌は、発音やリズム感の勉強にはとてもよさそう。(最近はスラングも多いので、文法や表現についてはわかりません)フィンランド語も、聴きながら、歌いながら学ぶ方法アリだと思います。思ってはいるのですが、いくつか注目したいことがあります。
そのうちの一つは、文法に注意、ということ。

フィンランド語は、文章の中の単語の順番が、かなり自由な言葉です。Partitifなどの格の変化や主語による動詞の変化、主語の省略をひととおり学んでいても、順番が、教科書通りになっていないということが、多々あって「なんでやねん」と言うことがありがちです。例えば英語と同じく形容詞→名詞の順かと思いきや、それが逆になっているとか、動詞の省略があるとかです。青い空なら、空、青い、と言う順番で。
歌詞だけ書き出して文法を確認する作業が役に立ちます。

私はこんな歌詞がわかりませんでした。

Joku tulen sytyttää. 

Joku sytyttää tulen. 

「誰かが火をつける」と言う訳になります。一文目が歌詞に出てきます。主語が「誰か」なのに、なぜ第一人称(私)の「来る」がくっついているのか?
Joku なら第3人称でtuleeになるはずじゃない?と、長ーい間悩んでいました。何かの拍子にふと、ほどけました。名詞tuli のGenetiiviがenになっているのを、動詞の第一人称かと思い込んでいたわけです。

この「ほどける」瞬間も楽しいものです。よくわからないまま歌っていると頭に入ってしまうフレーズもあるので、それもまたいいのではないかしら。

もうひとつ。歌詞とにらめっこしていて、文法がどうにもわからない歌詞がありました。悩んで悩んで、フィンランド人の先生に見せましたら、先生も眉をひそめてにらめっこしたのち、「動詞が省略されてる!ない!」とおっしゃいました。
過去をあらわすときに、動詞ollaを使いますが、それが全部の歌詞で省略されていたのです。

フィンランド人も考え込むくらいなので、まあええか、と思いました。歌にあまり親しまれていない方だったのかもしれません。私も作詞するうえで、「ここら辺は適当」ということがあります。伝わるからです。日本語歌詞の略とは、また一味違うような気もします。

さて、ここまではいわゆるポップス系の歌詞の話。クラシックでもいろんな詩に出会います。詩の場合、話言葉はや地方の言葉はもちろん、「詩における表現」もあります。

例えば単にsinäが saになっていたりすること。
今フィンランド語を学ぶにあたってはsinä はsä と省略される、と学びますが、詩の中ではまた形が違うということです。

フランス語詩の中では多少の順序の違いはあるものの、短くした表現の単語にお目にかかった記憶なし。さらに、文章は完ぺきに、と言う仏語なので、話し言葉みたいなsaが、歴史的詩人の?詩に出て来たのに驚きました。

他に、単語が容易に辞書で見つからない事もあります。

歌う際に歌詞を学ぶのは、理解し、歌で表現するための訳で個人的なもの。日本語で書き出すための訳は、また違うと思っています。

以上、ふと思い出したことから、何となく書いてみました。

このようなフィンランド語教室もあります。もう始まってしまったようですが、リンクを張っておきます。https://peatix.com/group/7198334

 

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