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【大学院留学に興味ある人へ】ベルギーの大学院に入るまでにしたこと

わたしは去年の9月から、ベルギーの首都ブリュッセルにある大学院に通っています。交換留学ではなく、大学院に応募して入学しました。ブリュッセル自由大学のオランダ語圏版 Virije Universteit Brusselとフランス語圏版Université libre de Bruxellesの2つの大学が共同運営している Master of Urban Studies という2年間のプログラムで勉強してます。

Geographyが基礎となった学際的プログラムで、「ヨーロッパの都市」をフィールドに政治経済や社会格差、環境問題、都市デザインなど多角的な角度から学んでいく内容です。とても学際的なプログラムなので、いろいろなバックグラウンドの学生が集まってます。地理学、社会学、建築学、経済学、歴史学など。わたしは、「Sustainable Urban Design」、つまり人口が集中している都市をよりサステナブルな仕組みにすることで環境や社会問題を解決していく方法を学びたいと思い、このコースを選択しました。

今回は、ベルギーの大学院留学の準備方法について共有したいと思います。

自分の条件に合った大学院の探し方

1. 地域
大学院探しは通常、「学びたいこと」→「その研究が盛んな国・地域」→「大学院のコースを比較」という順序で進めていくと思いますが、私はブリュッセルに住みたかったので、ブリュッセルから通学圏内にある大学に絞ってリサーチを進めました。

2. 言語
マスターコースがどの言語で提供されているかは重要なチェックポイントです。ベルギーの場合、公用語がフランス語、オランダ語、ドイツ語で、大学で使われる言語もその地域によって異なります。ブリュッセルはEUの首都でもあり、国際的な環境のため英語もよく使われます。大学側も留学生の多様性を確保するために、英語で授業を提供しているところも増えています。私は大学でフランス語をやってたものの、マスターレベルの授業をフランス語で受けるのは厳しかったので、英語でできるコースに絞りました。後からわかったことですが、他のヨーロッパの都市も、英語で提供しているマスターコースはたくさんあります。授業では、地元住民や機関にインタビューをすることがあるので、地元の言語を理解できると学びがより深いものになると思います。

3. 内容
いくつか英語のマスターコースを発見し、そこから興味を惹かれるものを絞っていきました。前職で広報をしていたのでCommunications Studiesや、環境保護をしたいのでEnvironmental Studiesもありでしたが、いま通っているUrban Studiesに一番惹かれました。なぜかというと、これまでの国レベルや政策、科学といったアプローチよりも、もっと身近な「街」や「コミュニティ」という視点から環境や経済、文化を考え、これからのサステナブルな街づくりに携わってみたいというビジョンがあったからです。結果、ブリュッセル自由大学が提供するMaster of Urban Studiesに応募することにし、他には応募しませんでした。Urban Studiesのエリアは、ブリュッセル自由大学以外にもたくさんの大学が授業を提供しています。スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ドイツ、オーストリア、オランダ、スペインなど。また、マスターコースは1年間と2年間のものがあり、修論をしっかり書くとなると2年コースの方がじっくり取り組めると思います。

4. 学費
驚くことに、ヨーロッパの中でも学費は国によって大きく異なります。ベルギーは最安ではありませんが、安い方だと言えます。わたしの通っているMaster of Urban Studiesは、EU圏内出身の学生は年間1500ユーロ(約20万円)、EU圏外の学生は年間4500ユーロ(約55万円)です。日本人だとEU出身の学生の3倍払わないといけないのでアンフェアに感じますが、EU圏への納税者ではないので理解もできます。

この学費で何がカバーされるのか? 授業で扱う教材はオンラインで提供されるので教科書代などは基本的に発生しません。授業中に近隣の都市に日帰りスタディツアーをすることが複数回ありますが、交通費は学校負担です。今年の5月にはパリに1週間スタディツアーがありますが、ホテル代と交通費、ガイド代、ランチ代は全て学校負担です。総じて、かなりコスパいいと思います。日本の院より安いかもしれません。

わたしの調べた範囲だけになりますが、他のヨーロッパの国の学費は、ベルギーの隣国オランダ、スウェーデン、イギリスはめちゃ高いです。年間20,000ユーロくらいします(200万円以上)。それに家賃、生活費、渡航費、旅行代などを考えると奨学金なしではとてもきついと思います。対してドイツはほぼ無料だと聞きます。

他のヨーロッパの大学院に通ったことがないので比較が難しいですが、ブリュッセル自由大学の教授陣や他の生徒のクオリティは良いですし、交換留学でオランダや北欧の学費が高い大学にも追加の学費を払わずに通うことも可能です。金銭的には学生の懐にフレンドリーなベルギーの大学にして良かったと思います。

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(ブリュッセル自由大学のキャンパス)

受験準備の仕方

ベルギーの大学院は9月始まりで、応募締め切りは3月上旬です。前年の12月から動き始めたので、かなりギリギリでしたが結果的に間に合いました。応募要項を調べて気づいたのは、いわゆる大学受験というよりも、就活により近いということ。「受験」といって私たちがイメージするのは、ガリガリ勉強して試験を突破することですが、ベルギーの大学院が求めているのはこれまでのプロセス。今まで何をしてきたか、これから大学院で何をしたいのかを本人と第三者の視点から明瞭に説明することでした。

レターを集めよ!
そのため、応募に必要だったのは主にレターです。自分で用意するMotivation Letter、大学時代の教授2名からのRecommendation Letter、大学卒業証明書、学部卒業してから大学院に応募するまでの期間何をしてきたかを証明するLetterです。わたしの場合、学部卒業後に二カ所(1企業、1NGO)で働いたので、二つの機関から働いていたことを証明するLetterを作成してもらいました。試験対策は必要ありませんが、いろんな機関や教授に協力をお願いし、時間を割いてもらう必要があるので、常日頃から丁寧に人と接していくことが大事だと思いました。誰も協力してくれないと、Letterが集まらないので応募できません...。

語学力を証明せよ!
あとは、英語の語学力証明が必要です。嬉しいことにブリュッセル自由大学はTOEIC※も受け付けていたので、久しぶりにTOEICを受験しました(昔受けた証明書は有効期限切れ、2年しかもたない)。テスト予約〜受験〜証明書到着までのプロセスは2ヶ月ほどかかるので、準備が遅すぎると大学院の応募締め切りに間に合わない可能性も。ここは早めに確認した方が良いです。また、大学によってはTOEFL(アメリカ版)やIELTS(イギリス版)しか受け付けないところもあり、TOEICよりも高額でちゃんとした対策が必要です。

※残念ながらTOEICは対象リストから外されてしまい、 2020年8月27日時点では下記の通りに改定されています。

・TOEFL iBT with minimum level: 79;
・IELTS with minimum level: academic module 6.5;
・ITACE with minimum level: B2;
・Cambridge English Qualification Scale with the following minimal level: 170

Motivation Letterに時間をかけよ!
準備でいちばん時間をかけたのはMotivation Letterです。自分でドラフトしたあと、提出する前に第三者に目を通してもらうのが品質向上のためにとっても重要です。大学院にすでに通っている友人に内容を、そして英語ネイティブの友人に表現をチェックしてもらうのがベストです。わたしは英語でMotivation Letterを書いたことがなかったので、ネットでいろいろなサンプルを見てからドラフトし、大学院に通っている友人と、英語ネイティブの友人3人に見てもらいました。参考までに、私の書いたMotivation Letterはこちらです。

主なポイントは下記です。
・学部時代に何を研究したか
・どんな興味・視点を持っているか
・ベルギーの大学院で日本人としてなぜ、何を研究したいのか

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合格通知がきたら

3月に応募締め切りで、4月に結果通知が来ます。無事受け入れが決まると、学生ビザ申請に必要なレターが大学から届きます。学生ビザは大学側の受け入れが決まっていれば、よほどのことがなければ落ちることはないと思いますが、いろんな書類の提出が必要になりますので、早め早めに対策していくことを強くおすすめします。大学側の不備でレターがなかなか届かない状況もあるので、待っておらずどんどん催促の連絡を入れましょう! 無事にビザが取得できたら、9月の中旬くらいから授業開始です!

最後に

ブリュッセルは100万人規模のこじんまりとした可愛らしい街です。世界のありとあらゆるところから来た人々が暮らしていて、それぞれが街に居場所を見つけることができる、特別な魅力があります。大学院への留学を考えている人は、コースの内容も大事ですが、予算の現実性や場所的魅力など総合的に判断するのが良いと思います。

わたしは社会人を約7年やってから大学院に来ましたが、新たな分野・自分の純粋な興味を学べ、本当にいろんな人との出会いがあるので、勉強は大変ですが充実した日々を送れています。休みも社会人よりたっぷりあるので、たくさん旅行できます...。卒業後どう活かせるかがまた大きな課題ですが、社会経験してからの金銭的余裕を持った大学院留学はおすすめです! 
今後は、学んでいる内容について書いていきたいと思います。

私の発信が、何かの役に立てたら嬉しいな。「心の声に耳を傾け、自然体で生きていく。」よりナチュラルで自分らしい暮らしに興味のある方に、今後も日々発見したことを共有していきたいと思います!