見出し画像

今のところの産みたくない理由

現在34歳、今年35歳。いつのまにかまあまあな大人になった。それなりに毎日人生楽しんでいる。

20代の時は後先考えずとにかく毎日必死に生きていた。ここ最近は体力の低下から自分の時間の有限さに気づいて、これからの人生どう過ごすかよく考えている。その中で避けて通れないのは「子どもを産むかどうか」。まあこれから考えは変わるかもしれないけれど、今の時点の自分の考えを書いておこうと思う。

私は職業柄、たくさんの親子に出会う。いろんな親子がいる。仲の良い親子、お互いのこと嫌いじゃないけど距離のある親子、お互いにちょっと空回りしてる親子など。
その中で支援が難しいと感じるのは、子どもは親が大好きでもっとかまって欲しいのに、親が子どもに関心のない親子。衣食住は用意されているし、「最低限はやらなければ」の責任感があるので、ネグレクトとは判断されづらいけれど、どうしても親が子どもに関心を持てず、自分の別の関心ごとを優先してしまう。

結果、非行に走ったり、不適切な居場所を見つける子どもたちもたくさん見てきた。虐待とはなかなか判断されないが、親が関心が薄い、子どもに関心がどうしても持てない結果。

そういう場合は「もっと関心を持って!」と伝えて持てるものではない。できることは子どもに親以外のサポート環境を見つける・つくる、親子の「ほど良い距離感」を見出す、関係性を今以上に良くするのは難しいけど、せめて悪化せずに維持できる働きかけをする、とか。

今の制度上、このような状態で「親御さんがどうしても関心持てないから親代わりを見つけましょう」とはなりづらい。親戚や祖父母がいたら良いが、こういうケースほど関係性が希薄。今はどうしても子どもを産んだら自分で育てるのがスタンダードになってるから難しい。「血の繋がった家族が一番良い」という制度や文化。

支援者として考えるとこの場合どうしても「保護者にもっと関心を持ってほしい」「親に変わってほしい」と思ってしまう。

一方、自分に置き換えて考えてみると、他人事ではない、と思う。私は他者への関心はだいぶ薄く、自分自身の興味関心を追求することに一番喜びを感じる。何かに没頭している時は大体他のことは忘れている。

子どもは大好きだけど、四六時中、それも20年近く一緒にいた時に、ずっとその子に関心を持ち続けられるかの自信が今のところ持てていない。

「自分が産んだ子どもにずっと責任と関心をを持ち続けられるか?これからの20年間の優先順位の一位を子どもにおけるか?なら産んでもいい」と言われる世の中では、産まないことを選ぶ人が増えるのも当然では、と思ってしまう。現にいまの私はそう。

自分が男性だったらこうは思わないんだろう。やはり「産んだ以上子どもに関心を持ち続けろ」と言われるのは産んだ女性だからというのもあり、私は産むことが怖いんだろう。

男性が子ども生まれた後に「家帰りたくない」ってしょっちゅう聞くんだけど、男性がそれ言ってもあまり責められないけど、女性がそれ言うと「なら産まなければよかったじゃん」って思われたり言われたりするし。私もどこかでそう思ってしまっているところがあるからだと思う。

支援者としての私は「関心が持てない保護者を変えたい」と思う傾向にあるが、いざ自分が当事者として考えると、そもそも「産んだ人がずっと育てるべき」という構造自体がおかしいのでは?ということに気がつく。

そして自分はこれまでポジティブに「産まない」を選択していると思っていたけれど、背景にはジェンダー問題や家族制度があることが自分でよくわかった。

追記
こういう発言すると、「産んだ喜びは何事にも変えられないですよ⭐︎」とか「まだ子どもを作りたいという人に会えてないだけですよ⭐︎」「実際に子どもができたら変わりますよ⭐︎」みたいなこと言われるけど、そういう発言はどれも「既存の社会システムや多数派の価値観に合わせられないあなたが悪い」にしか聞こえないので結構です😊

追記2
だいぶ個人的なことなので公開迷ったけど、「個人の選択の問題だよね!」としてしまうとジェンダーギャップや家族制度の問題が矮小化されてしまって嫌なので抗う気持ちで書いてみた。

追記3
もう一度、一応書いておくが... 個々人の選択の良し悪しの話ではなく、「産まない」選択をする背景にはジェンダーギャップや「血の繋がりのある人が育てるべき」が前提である文化や制度があるから、「産まない」選択をせざるを得ない社会構造を変えなければ少子化は進む一方ですよね、と言う話です。そして誰もが加担者にも被害者にもなりうると言う話です。 今のままでは子育てがうまくいくかどうかは「運次第」。

1月13日追記
関連ニュースや記事がちょうどいくつか出てたので参考に。





#ジェンダー #家族 #社会課題  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?