腹圧呼吸で痩せるかって? いや、むしろ逆の方が多いと思うよと

私がやっている合気道のクラスが終わって、若い女性から「腹圧呼吸で痩せるという記事を見かけたんですけど、ホントなんですか?」と聞かれた。

んん? 腹圧呼吸で痩せる!?

なんの話かと思ったら、合気道のウェブサイトの中のブログで書いた「丹田から出す力って、なんだ!?」を読むと、「唯一検証されているはずと思えるのが、スタンフォード大スポーツ医局が実践している疲労予防のためのIAP呼吸法」と書いてあった。

(IAPというのは吸うときも吐くときも、お腹を膨らませたまま)その、ずっと腹圧をかけたままの呼吸法がダイエットに効果的だ、みたいな記事をネットで見かけたという。


これちょっと説明が必要です。武道の世界で丹田丹田と言われるけど、その説明はとても曖昧。江戸時代からずっと変わらない不可思議な解釈だし、専門家っぽく語ってる人でも、けっこう違う。

おまけに最近はマインドフルネスだ瞑想だと流行してるみたいだけど、誰がちゃんと指導できるんですかと聞きたい。呼吸法がマストだけど、それはちょっと危険な領域ですよ、という危機感みたいなことがあって、ブログに書きました。

ビジネスパーソンも瞑想だ。ジョブズも禅をやってた、Google社員も大勢瞑想をやってる。みたいな流行があるけど、禅病とか偏差とか魔境とか言われるヤバいことがあることすら知らない人が指導してたり、薦めてたり。ジョブズはパーソナリティ障害だった説もあるけれども、もし的確な指導を受けずにやってたら… というか指導できる人が、世界にどれだけいるんでしょうか。

あ、あの瞑想、丹田、呼吸法はほぼセットなんです。

たとえばヨガとネーミングされててもディープでスピリチュアルなものから、軽いストレッチまでさまざまですけど、瞑想や丹田はどうでしょ。少なくとも2時間パソコンに向ったら10分ストレッチしましょう、みたいなTipsではないはずです。


根拠がありそうと書いたのは

丹田なら丹田の解釈、鍛錬法、効果効能みたいなことは、本当に千差万別ですが、エビデンスのあるものはどこにも見当たりません。そんな中で、唯一私が知る、検証されているはずと思えたのがIAP呼吸法だったんです。

IAP呼吸法は『スタンフォード式 疲れない体』という本に紹介されています。著者はスタンフォード大スポーツ医局のアソシエイトディレクター。同時に現役のアスレチックトレーナーでもあり、現在東京オリンピックに向けて水泳チームを担当されているそうです。

IAPのメソッドを開発したのは、チェコのパベル・コラー博士。博士が提唱するDNS(動的神経筋安定化)という“筋肉より神経に着目した身体機能理論”の中で、最重要なのがIAP呼吸法で「体の中心が安定し、スムーズに中枢神経と体の各部が連携する、万人に共通する最適で効率のいい体の使い方」とのこと。

この「 」のフレーズは、定義はともかく、あまたにある“運動をする上で丹田をつくることが必要”論の、共通項と同じだと言っていいと思います。

『スタンフォード式 疲れない体』だけ読んでIAP呼吸法をするのに危険性はないかと言われると、なくはないよねと思います。それは間違えたやり方をしてしまうことへの懸念で、少なくともメンタルへの悪影響はなさそうだと思えます。

リカバリーや予防に、チェコのスポーツ医学専門機関やスタンフォード大スポーツ医局でIAP呼吸法を使われているのなら、いくらでも検証できるしょう。プラスだけではなく、マイナスも。

でも痩せるとかは書いてなかったと思うけどな。


腹圧をかけると腹筋が鍛えられる?

私はその腹圧呼吸法で痩せるという記事を読んでいないので、なんともわかりませんが、想像はできます。ありがちなロジックです。

たしかに腹圧をかける→外に向って膨らむ→それを腹筋が抑え込もうとする→人体の梁構造ができる みたいなことは書いてあったと思います。個人的に、この梁構造の作り方は素晴しいなと思いますが、これでどれほど筋肉群が鍛えられるものでしょうか。鍛えられたからといって、痩せるというほどのものでしょうか。

痩せるかと聞かれて私が言ったのは「スタンフォード大のスポーツ医局は痩せるかどうか、ダイエットに効果的かどうかなんて関知してないと思うよ」と。

だって著者は東京オリンピックに向けて水泳チームを担当してるってことだけど、オリンピックに出るような水泳選手ってどうよ。池江璃花子さんがプールに入ったままフルーツ食べてる映像見たことない? あれは、継続的に三大栄養素もビタミンもミネラルも摂取する必要があるから。カロリーだって、一般人の1.5倍は必要らしいよ。そんな人たちがダイエットがどうのとか、痩せるとか気にすると思う? むしろ痩せすぎないようにしてるわけだから(笑)

それで、腹圧をかけるのが痩せるかどうかはわからないけど、体形的にどうなるかのサンプルなら、私はけっこう持ってるよと。


丹田を意識している人の腹は

IAP呼吸法は、吸うときも吐くときも、お腹を膨らませたままで腹圧をかけている。通常、丹田呼吸と言われるものは、吐くとき凹ませて、吸うときに膨らませる腹式呼吸。

腹を膨らませることが肉体的にどういう変化をもたらすのか、たぶんそんなエビデンスはないだろう。だけど、私はサンプルをけっこう持ってる。

さまざまな武道をやる男性の裸は、たぶん1000人以上は見てる。そのうち丹田がどうのという人の裸となると、30人前後は見ているはず。その中で、腹が絞まっているのはただひとりだけで、著名な武道の先生です。あとはみんな腹が出ている。極端に出ている人も少なくない。BMI的にどうかは、なんとも言えないけど。

唯一絞まっている著名な先生は、まいにち稽古されていて、単純に考えても運動量が半端ない。

ということで、腹圧呼吸でも複式呼吸でも普通の人が日常化すると、痩せたように見えることは、まずないんじゃないの、というのが私の返事でした。


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akiosegawa

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