見出し画像

大企業に勤めることのリスクと「自給自足」時代の働き方

「会社、1つにしか入っていないの珍しいね。」とか「副業禁止とか昔あったね。」と言う時代が、将来確実に来ると感じている。

今回は、新卒で就職するといういわば固定観念的な発想から、将来安定して食い続ける(お金をもらい続ける)ためにはどうすれば良いのかという視点へ変えるためのポイントを真剣に考えてみた。

コンサルタントとして、自身も大企業に入りながら、同じ大企業を相手に仕事をしてきた筆者から、少しでも気づきを与えることができれば、というのがこの記事のモチベーションである。


1.日系大企業の姿勢(2019年現在)

これまで、コンサルタントとして様々な業種、企業を相手に仕事をしてきた。銀行、食品、流通、製薬、製造、政府系など多岐にわたる。

コンサルタントとして大企業を相手(お客さん)として仕事をし、感じたことを書いてみる。相手は日本国内の東証一部に上場しているレベルのいわゆる「大企業」である。

お金(資金力)はあるが、スピード(アイディアをビジネスに変える速度)は無い

まずはじめに気付くのは、活動に取り組むまでのスピードが遅いという点だ。すなわち、意思決定のスピードが遅いということだ。

いろんな要因が考えられるが、組織的な問題やスタンプラリーに称されるような承認プロセスの問題など、日系大企業ならではの理由であろう。また、企業内の、新しいことに対する許容度(企業文化と片付けてしまえばそれでおしまいだが)や、役職者に対する権限委譲度の低さなども挙げられる。

スタートアップ企業で、時価総額10億ドル(1000億円超)を超える企業をユニコーン企業と呼ぶが、こうした企業はものすごい速さでその金額を達成している。欧米系は平均7年、中国系は平均3年というデータもある。

新しいことにチャレンジする投資額が少ない

企業の内部留保額が右肩上がりとなっているのは、各種報道で周知の事実だ。ー朝日新聞デジタル2018年9月「内部留保446兆円、6年連続で過去最高更新 企業統計」

この446兆円をすべて投資せよとは言わないものの、 ちょっとでも投資に回して、次の時代でも優位性を持つためのbedをすれば何かは生まれるはずだ。1%でも4.5兆円。目標を決めて進めていく推進力(オペレーション力)は諸外国と同等かそれ以上だと認識している。日本の工事はイギリスやアメリカと比べて圧倒的に早いと言う。

ちょっとばかりの踏み出す勇気さえあれば、オペレーショナルエクセレンスが高い日本は、相対的に成功率も高いはず。

日系企業とそれ以外の外資系企業という構図で比較すると、どうしても絶対的にも相対的にも投資(ここでは、新しいこと、価値を生み出すかわからないもの、といったリスクが高いものを含む)に対する金額が少ない。

これまで実際の案件を見ていると、外資系の企業が数年前から1億〜数億円のお金をAIやIoT、イノベーション創出といった比較的「ふんわり」している案件に費やしてきている一方で、同様の案件に対して1億以上払ってきた日系企業はほとんどなかった。

企業内部の意思決定プロセスやリスク許容度に依存すると思われるが、東証一部上場企業だとしても、やはり、ためらいが大きかったように感じる。


2.仕事の選択肢としての大企業就職(新卒/既卒)

そうした日系企業に新卒として「当たり前のように」就職することは、今後とも取るべき選択肢なのだろうか。

メリット・デメリットに分けて書いてみた。

メリット

大企業なりの働き方を学べる。数百、数千の規模の会社にいればそれだけの人を雇い続ける企業としての体力も必要。それだけの人数が日々仕事がしやすくなるような、会社の仕組みや制度(人事、教育、経費、福利厚生)は一見の価値があろう。

デメリット

裏返しになるが、会社のミッション・目的に向かって大人数で分担して推進していくので、1人あたりの仕事の役割や職掌は限定的となる。平たく言えば、やれることが限られるということだ。また仕事の質も、一部の部署を除いてオペレーショナルな仕事となりがちである。

もちろん上記以外にも書ききれないほど、メリット・デメリットはあると思われる。

だが、今の時代の潮流を踏まえたときに、私はデメリットの部分が今後「個」として生き残るためにはリスク要因になると考えている。

「個」として生き残るとはどういうことか

それは、個人が利用可能なIT技術やITプラットフォームが発達してきた今、誰かに頼らなくても自分でお金を稼ぎやすくなってきているということだ。

単発の仕事を請け負うクラウドソーシングで仕事をしてもいいし、自分で作ったLINEのスタンプを公開して売ってもよいし、手作りの小物をメルカリで売ってもよいし、noteを書いて自分の思いを世の中に売りに出してもよい。貰い物をヤフオクで出品してもよいし、エアビーやカーシェアで自分の資産を貸してお金をもらってもよい。

これだけ個人でお金を稼ぐという方法が増えてきている中で、毎日毎日、大企業の1従業員として業務をこなしていくと、そこでの仕事・業務しかできない、あるいは転職したとしても同様の仕事しかできなくなってしまう。

安定的に収入を貰えるし、大企業は潰れないから大丈夫という見方もあるが、逆に言うと、自分の力で考え、創造し、誰かにモノやサービスを提供し対価をもらうという力が弱くなってしまうということでもある。

GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)に代表されるようなベンチャー発の企業は圧倒的なスピードで、伝統的な大企業を追い越し、気づけば時価総額ランキングのトップとなっていた。

このスピード感と先行きの見えなさ(将来の不確実性)は、今後さらに加速していくと予想され、そうしたときに、XX企業でのYYという仕事しかできない人はどうなるのだろうか。そもそもXX企業は10年後ないかもしれない。

ここで、始めの問いに戻るとどうだろうか。

日系企業に新卒として「当たり前のように」就職することは、今後とも取るべき選択肢なのだろうか。

「思考停止」の状態で就職をするということを止め、今この時代で力がある(市場での優位性を伸ばしている)のは誰かを再考した方が、私は良いと感じる。


3.「自給自足時代」に求められるスキル

正直なところ、生活をするためのお金が必要ということであれば、お金が稼げれば何でもよい。じゃあ何も考えずにレジ打ちのバイトや日雇いをすればよいのかというと、それは止めたほうがよい。

なぜなら、それは誰か別の人、すなわち、雇用者(労働者を雇っている個人や企業などの組織)に雇われているに過ぎないからだ。

今後は、会社という組織形態もあまり意識されなくなってくるだろう。1つの目的を達成するために、素早くチームを組成して、その時に必要な専門家が集まってミッションを達成する。達成したものやサービスに対して、対価(報酬)を受け取り配分される。多くの場合、活動は有期(2-3ヶ月から1年など)であり、その期間が終了すればチームは解散となる。

人によってはそうしたチームベースの仕事を1度に2-3個掛け持ちしながら、バリューを出していく人もいるだろう。

副業禁止や解禁といったニュースが話題となっているが、それらは企業が自分たちの手の付くところで従業員を働かせるための論理であり、会社勤め(=本業)を是とした上での議論である。

チームベースの働き方となれば、副業という概念もなくなり、自分が何のスキル、専門性で価値を発揮して、対価をもらえるか(稼げるか)という問題となってくる。

そう考えると、日雇い派遣やレジ打ちバイトは短期的な発想に過ぎず、今後の時代の流れを踏まえた最適な戦略とは言えないのも明白だ。

そんな簡単に、専門的なスキルで稼げない

という声もあるだろう。

まずは自分の頭と体を使って、お金を稼ぐということをやってみるのが良い。

いったんここで、先ほど延べたITプラットフォームの例を再掲する

単発の仕事を請け負うクラウドソーシングで仕事をしてもいいし、自分で作ったLINEのスタンプを公開して売ってもよいし、手作りの小物をメルカリで売ってもよいし、noteを書いて自分の思いを世の中に売りに出してもよい。貰い物をヤフオクで出品してもよいし、エアビーやカーシェアで自分の資産を貸してお金をもらってもよい。

これらは、B2B(Business to business)の対照として、C2C(Customer to customer)と呼ばれる領域である。ITプラットフォームの発達によって、これまで個人間のやり取りを取り次ぎ(仲介)していたBusiness(企業)が不要となってきているのだ。

この流れはそうしたビジネスをしていた企業にとってはリスクでしかないが、我々個人にとってはチャンスである。

私もC2Cのサービスを1,2年前から使い始めている。もちろんお金を払う方としても貰う方としてもである。やってみた方は共感されると思われるが、売り手(お金を貰う方)として1万円、いや、5000円を稼ぐだけでも非常に難しい。

例えばメルカリで不要な本を売るとしても、1冊の本から得られる実質利益は300円〜1000円といったところだ。仮に1000円稼げるとしても、1万円稼ぐには10冊売らないといけない。月に20万円稼ぐには、200冊の本を売る必要がある。しかも、それだけ大量の本を継続的に「お客さん」に買ってもらうためには、素早い返信や丁寧な梱包と発送、明瞭な文章を書くなど、手間のかかる作業を覚悟しなければいけない。

大抵のプラットフォームでは、ユーザーが互いに評価しあい、その結果が公開される仕組みなっている。そうすると、高い評価を継続的に受け取りながらお金を稼ぐ方法を考えないといけない。

どうやったら作業を簡素化できるのか、効率よく終わらせられるのか、商品をどうやって紹介しようか、といろんなことを考えないといけないのである。これこそが独自の発想力、創造力であり、自給自足時代に求められる力なのである。

近い将来の変化を見据えて、今日からでも準備を始めよう。

END -----

就職どうしようと悩んでいる方、なんとなく就職してみた方、会社の中で真剣に将来を考える若手、中堅のサラリーマンなど、仕事について考えているみなさんに読んで感想をもらいたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?