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雛祭 #NHK俳句季節往来 投稿作

 姉夫婦には長いこと子供ができなかった。診てもらうと、姉が子供のできにくい体質であるとわかった。避妊治療をするなかで流産を経験した。子供はあきらめた方が、と医者は告げた。義兄も、子供はいなくても構わないと言った。
 しかし姉はあきらめず、治療を続けた。姉よりも私たちの母が躍起になった。母は毎朝、近くの神社に御百度参りをした。百回を超えても続けていた。その御利益があったのか、次の妊娠で無事、産まれた。
 元気な女の子。それもちょうど三月三日、雛祭の日に。病院で姉と赤ちゃんの健やかな顔を見た時、お姉ちゃんよかったと、涙がとまらなかった。

雛祭まだ恋しらぬ丸き頬