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'95 till Infinity 154

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【 第9章 : Unfolded Nothing-③ 】

本当のことを言えば、俺には何が大丈夫かもわかっていなかったし、その大丈夫の根拠もわかっていなかった。

もっと正直なことを言えば、俺にはそんなことはどうでもよかった。

寒さ、寒さ、この寒さ。
この寒さをどうにかしてくれ…

涙で声を詰まらせながら、エマは話し続けた。カイロと喧嘩が絶えないこと。カイロのことを思って言えば言うほどカイロがかたくなになること。

喧嘩を重ねてぎくしゃくしてきた関係が今では喧嘩をしなくても2人の間に感情的な壁を作っていること。

ねぇ、私にはカイロのことがもうわからないの。
エマはそう言って泣き崩れた。
俺の眼の前で女が1人震えていた。

もう何回目かもわからない大丈夫だよという言葉を吐きながら、俺は解放してくれと神に叫んでいた。このカムダウンから、この寒さから、俺にとってはどうでもいいことを話し続ける目の前のこの女から。

寒さが心臓を小刻みに揺らし、その揺れは体全体に移っていった。かたかたかたかたかたかたと奥歯を鳴らす俺にエマはやっと気づき、今さらのように驚いて、「本当にヒドい顔してるわよ。大丈夫?」と聞いた。

もう3日も寝てないんだ。
寒いよ、寒いんだ、エマ。

そう答える俺の顔はとてつもなく醜かった。きっと俺の眼は誰かに、何かにすがる者の弱さに支配されていただろう。

俺はずるかった。エマならきっとこの苦しみから救ってくれるだろうと俺はわかっていた。

すべては計算づくだった。

寒いんだ。
寒いんだよ、エマ。
そういう訴える俺の横にエマは座り、俺たちは同じ毛布の中。

俺の震えは止まらなかった。

かちかちかちかちかちかち、かちかちかちかちかちかち、外では雨が降っていた。

俺の震えを止めようとするかのようにエマの手が俺の頬を上下する。最初はひんやりと冷たかった手が次第に暖かくなっていく。いつの間にかエマはまた泣いていた。


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